2012/12/26

2012.12.25 寒!!!

私は、今、日曜日から金曜日まで広島県呉市にいる。
そして、金曜日から日曜日まで高知県津野町にいる。
「うちの庭」は滞りがちだ。

呉市も寒い。
温暖だと思っていたが、山からの北風が結構寒い。
それ以上に高知のわが家付近は寒い。
クリスマスイブの24日は四国の山間部には朝から雪が降った。
写真は緩んだ午後2時、愛媛県鬼北町にて。
高知県との県境だ。




2012/11/30

2012−11−25  ツワブキ

庭はすっかり姿を変えた。
今年の紅葉は長くきれいだったが、今はだいぶ落葉し、木々は幹や枝を露にしてきた。
こんな時期なのに、ツワブキの黄色い花は今が盛りだ。
枯れ葉で庭は覆い尽くされている。掃いても掃いても積もる枯れ葉。
こんな庭に元気な黄色は、不似合いだなあ。
と、思いながら見ると、黄色い蝶が、蜜を求めて来た。
2羽揃っているのは、越冬の準備なのか。



2012/11/16

2012-11-11 センブリ

千回振り出しても、まだ苦いから「センブリ」というのだそうだ。
白いかわいい花はその苦さで身を守っているのだ。
私たちは「苦さ」は本能的に避けるのだろう。
幼いころ、「苦味」を美味しいと感じたことを思い出せない。
コーヒーを口にして、「うっ!』となり「ぺっぺ」と吐き出した思い出、胃薬の苦い粉が口いっぱいに広がり耐えられない味の思い出ばかりだ。

大人になって、コーヒーやビールを飲むようになり、苦みのある山菜や野菜、柑橘類の皮が好物になった。苦味は渋みや酸味とも合わさって、舌に刺激し、食欲を増し、口や胃、体を活性化するように感じる。加齢とともに衰える身体能力とは反比例して、微妙な苦味の感じ方は鋭敏に成長しているように感じるのだ。
このセンブリをドクダミとともにお茶代わりに飲まれる先輩がおられる。
私は未だ未熟でお茶代わりに飲めないが、いつか飲めるようになるのだろうか。

10月末撮影





この、センブリ、頭皮への効果が認められ、毛髪の発生、成長の薬として販売されている。苦味はやはり細胞を活性化させるのだろう。

2012/10/23

2012−10−22 ツリガネソウ


ツリガネソウ・カンパニュラともいう。
キキョウ目・キキョウ科

ツリガネソウの花言葉は「感謝」。

これは、首を垂れたような格好からきているのだろうか。
もしそうだとしたら、たいへん深い角度で頭を垂れていることになる。
こんなに深々と、一体誰にお辞儀をしているのだろう。
前回に引き続いての夫の父の話。
父の話をしたくて、この花を題材に選んでみたのだった。

夫の父が亡くなるちょうど一年前、
医師から不治の病であることを告げられた。
「来年の正月は迎えられないかもしれない」。
年齢を思えば驚くことでもないのかもしれない。
けれど、私たちは少なからずショックを受けた。
そして悩んだ。
父に告知するべきか、否か。

父は強気な人である。
弱気を隠すために強気な言葉を出してしまう人である。
だから、もしかすると、告知は決定的な弱気を招き、
死期を早める原因になるしれない。
すぐに、夫の兄弟たちで話し合いが開かれた。
成人をし、仕事を持ち、家庭を持ち、
共通の時間を持たなくなって久しい兄弟たち。
こうしてひとつの机に会するのは、一体いつぶりだろう。
ひとしきり話をした後、夫の妹がポツリ、つぶやいた。
「お父ちゃんが会わせてくれたみたいやなぁ」
結局、私たちは父に病気のことは伝えなかったけれど、
日常的に普段にできるべきことが、
目にみえる早さでひとつずつなくなっていることで、
父も死期が近づくのを感じていたようだった。

それから亡くなるまでの一年間。
父は、私たちに多くのことを教えてくれたような気がする。
「ああせえ、こうせえ」なんて口に出したワケではない。
ちょっとしたことでも「ありがとう」。
一番目のひ孫の遊ぶ姿に「ホンマにこの子は、ええ子じゃのう」。
孫や孫の嫁が難しいことに挑戦すると聞くと、
「ようがんばりゆう、えらいのぅ。わしもがんばらないかん」。
衰えゆく身体と反比例に、発する言葉には
不思議と力が増していくように感じられた。
「強気」と言えば悪いことも含まれそうだが、
父の「強気」は、思えば、自らを鼓舞するものが多かったように思う。
要するに、「前向き」なのだ。
今のその姿勢には、こちらの心が思わず震えた。
そして二番目のひ孫が誕生。
できたての名前を聞いて、「これ以上の名前はないぞ」と誉めた。
(父は、最後の力を振り絞って、ひ孫に会うまでがんばった!)
父の四十九日ももう今週末に。
多忙のうち、実感も伴わないまま時間は過ぎている。
生きていたら、父は、遠くから私たちを見て、
「えらいのぅ。わしもがんばらないかん」と目を細めているかもしれない。
あるいは「もっとやらんかい」と
そう思ってしまうと、見られているようで手が抜けなくなる。
で、やっぱり、頭が垂れるのだ。

2012/10/11

2012-10-10 ヤマボウシ


















今年はいつまでも暑かった。
今年の8月、9月は、毎日一度は雨が降り、降らなかった日は希であった。
「異常気象だ。」と言いかけて、近年毎年の夏に、「異常な暑さだ。」
「異常に低温だ。」と言っているなあ、と気がつき、どのような夏が「普通」だったのか
わからなくなった。

この写真は9月の末のものだ。ヤマボウシの葉が少し色づいて、実は熟している。
暑さのせいで、この時期には珍しいくらい、実はたくさん残っている。

花の時期http://uchi-niwa.blogspot.jp/2012/06/2012-06-01.html
という記事で、実がきれいだと記したのに、
実が真っ赤に染まった美しい時期を逸してしまった。

このブログもご無沙汰でした。
うちの家族に変化があった。


同居していた夫の父が9月末、亡くなった。
父は具合が悪くなったときに「葬式はどこでやるんか?」と私に聞き、
私はそれに、「向こうで」と答えた。
庭からデッキ、居間に続く、家族みんなのお気に入りの場所、
大きなヤマボウシの立っているところだ。

父の祭壇は、このヤマボウシがよく見えるところに設えた。
葬儀のパイプ椅子を並べたデッキに、このヤマボウシの赤い実が、いっぱい落ちてきた。
それを見て、葬儀屋さんと手伝いに来てくれていた近所の人が、
「うわぁ、いいね」とヤマボウシの実についてひとしきり喋っていた。
庭には落ち葉がたくさん落ちてきていて、
連日の、気の置けない天候と残る暑さのせいもあり、
木の根元には、次のイノチを育む準備が始まっている。

8月末には、私の長男にこどもが生まれたばかりだ。


2012/10/07

2012.09.20 朝顔















このアサガオ、うちの庭の裏山の石垣に「おのれ生え」したものだ。毎年種を落とし、自然に生える丈夫なアサガオだ。9月の末になった今も咲き続けている。
今は30歳を過ぎた子供たちが小学校低学年だった時には、どの子もアサガオの観察が、夏休みの宿題だった。明るくなりかけた夏の早朝より開花の様子を観察したことは、子どもと私のいい思い出となっている。中でも、開花と同時進行におしべが短時間の間に伸びる様子は驚きであった。めしべより短いおしべがめしべを追い越こす。
めしべを追い越すとき、花粉がめしべに着き、受粉するという。

裏山の石垣のアサガオは、今年もたくさんの種をつけている。



2012/07/13

2012-07-13:カキラン

写真は6月の半ばほどに撮影。
カメラのレンズも新たにしたので、
昨年撮影したものより大きくキレイに撮れました。








































突然ですが、NHKはEテレの『デザインあ』という番組をご存じ?
デザインの考え方、というよりもむしろ、
物の成り立ち…たとえば、道具の基本デザイン、表示の機能デザインなどを
子どもにも大人にもわかりやすく柔らかく見せている番組で、
凝り固まったアタマをほぐすのに、とってもオススメ。
その『デザインあ』には、デザインに関わる人に、
インタビューに答えてもらっているコーナーがあるのですが、
先日(1か月ほど前か)、今治タオルのブランディングにも関わりの深い、
超有名CMディレクターの佐藤可士和氏が登場しておりました。

彼の話にテーマを与えるならば、「目に飛び込んでくるデザイン」。
デザインの仕事に当たっていつも考えていることは、
すぐに目に飛び込んでくる色やカタチを作りたいなと思う、
といったことでした。
今治タオルの他、SMAPやらユニクロ、
ポカリスエットやカロリーメイト、特筆すべきは「ふじようちえん」…、
興味のある方はぜひ検索してみてください。
確かに彼のつくるものは、
「目に飛び込んでくるデザイン」だと納得できることでしょう。

「目に飛び込んでくるデザイン」。
別の角度から見ると「違和感を創る」みたいなことだし、
お笑いの角度から言及するなら「つかみ」にあたるのではないでしょうか。
つまり、「違和感に惹かれる」「ココロをつかまれる」とは、
植物界にもあって、たとえばユリなんかは、
すでにポピュラーな存在とはいっても、
あの堂々たるルックスでは、遠くからでもすぐに目に飛び込んでくる。
それに、あの匂い。
「ユリだね〜」なんてことは、見えてなくてもわかってしまうのです。
…ともかく、人を「つかめた」かどうかは別として、
確実に、自分が生きるための作業員(多くは虫)のココロを
ぐぐぐっとつかんでいるのです。

じゃ、このカキランならばどうでしょう。
葉のミドリも、花の柿渋色も野草の中では紛れて馴染んで目立ちません。
カキランの生態を検索してみても、楚々と控え目な様子ばかりが伺えます。
(「比較的目立たない花ではあるが…云々」との説明ばかりが
目に飛び込んでくるのは私だけでしょうか)
つまりこちらは、探して見つけて、みんなに知らせるというより、
ひっそりと「自分だけの喜び」を味わう、といった趣が強い。

昨年の6月末ごろ、こちらでも同じように紹介しました。
稀少性の高まっている植物なので、
「来年は無理かな〜」なんてことも一部話していたのですが…。
今年のは、昨年よりも力強くうちの庭にはびこっております。
根性…? でしょうか。

昨日のキュウリと言い、どうもうちの庭は、
「一念奮起…?」といった感が漂っているようで…。

2012/07/12

2012-07-12:キュウリ

タクマしく育ってほしい、お二方でございます。
ちなみに、これ、1週間前の姿です。


















俄に、数ヶ月前から、ニューストピックスとなっているのが、
この、側溝からムクりと出てきたキュウリ。
うちの畑からやってきたのか、
サル(うちの畑の天敵)が仕込んだのか、
とにかくアスファルトと石垣のすき間に現れた意外な緑は、
いわゆる「図太さ」「たくましさ」の類の象徴として
うちに居着いた模様なのです。
実際に実をつけるか、つければ天晴れ、てなとこでしょう。

さて、キュウリ。
その歴史は遥か彼方、メソポタミアに遡り(えらい昔ですな!)、
シルクロードを仏教とともに…かどうかは知りませんが、
日本へと、流れ流れて入ってきたのは平安時代。
(キュウリの「胡」はシルクロードを渡ってきたことを示す文字らしい)
品種改良が施されないままに江戸を生き抜き、
幕末なってようやく、江東区(当時は砂村)にて、
今のような、「瑞々しい」「シャキシャキ」に生まれ変わったとのこと。

品種改良前の状態を具体的に示すなら、
徳川光圀公は
「毒多くして能無し。植えるべからず。食べるべからず」とし、
貝原益軒によると
「これ瓜類の下品なり。味良からず、かつ小毒あり」と
両者とも、何のコーティングもせずにマズさを表現したことで歴然。
……ほぅ。

遠方よりはるばる参りて、苦い顔をされながら長年を過し、
耐えて耐えて、耐えぬいて、
今の「食卓のいつものお方」の地位を勝ち得たのですね。


このキュウリはどうでしょう。
こちらでも耐え抜いて、麗しい(潤わしい)実をつけるでしょうか。
それとも、猿にさえ素通りされるカナシイキュウリとなるでしょうか。
…いや、ここはやはり、行く末がどうであれ、
その生き方のたくましさに敬意を表すべきなのでしょうか。

2012/06/29

2011-06-29 :ツリバナ

ニシキギ科 ニシキギ属 ツリバナ






































「ツリバナ」これは 6月28日、花道楽さんから、
お教えいただいた名前だ。
2012-05-12 枝分かれのパターン
(http://uchi-niwa.blogspot.jp/2012/05/blog-post_09.html)
というお題で植物名を聞いていたことに回答いただいたものだ。
長い間、コメントもメールもないし、
「もうだめだ」と諦めた矢先だったので、
花道楽さんのコメントを見た時、「ワオ!!!」って
思わず言ってしまった。
名前が明らかになり、「もやもや」がすっきり。
花道楽さん、ありがとうございました。
5月12日のブログの写真には、子花がビッシリ。
今は、写真のとおり数えられるくらいの数の実がポツポツ
かわいくぶら下がっている。
結実率が低いのか、鳥がついばんだのか。

追記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ところで、ヤマボウシ、この度の風雨で、花がすっかり
散ってしまった。
ヤマボウシの白い花は、1か月にわたり、私たちを楽しませてくれた。














2012/06/27

2012-06-27:ヒメシャラ


ナツツバキ課 ナツツバキ属
漢字で書くと「姫沙羅」。
うちの辺では、ヒメシャラのことを「貴婦人」と表現する。
淡褐赤色の艶のある幹は触ると「ヒンヤリ」と感じられ、
白い花は惜しげも無く一日で散って行く姿。
こういうところが「貴婦人」と言われる由縁なのだろう。
山林の中では幹の独特の色と艶で、遠目にも「ヒメシャラ」
と分かる。
うちの庭では、1本のヒメシャラだが、
独特の色と艶のある幹の群生は見応えがある。

2012/06/26

2012-6-25:ショウマ(トリアシショウマ)

前回の掲載から、25日間が経過。
うちの庭は、ますます、白い花真っ盛り。
梅雨の中、生き生きと、白さを増して咲いている。
このころ、ひときわ白く勢いのあるのが、ショウマだ。
ユキノシタ科 トリアシショウマ


















普通、私たちは、「ショウマ」とだけ言っているが、
「ショウマ」にはいろいろあって、キンポウゲ科のサラシナショウマ
バラ科のヤマブキショウマ、そしてうちの庭にあるユキノシタ科の
トリアシショウマ。いずれも花序は似ており、小さな花が集まって、
目立つ花になる。似たような花があれば「ショウマ」と
言っていれば間違いないようだ。


調べてみると、新芽は湯がいて食べると、美味しいそうだ。
山菜好きな私としたことか、不覚にも知らなかった。
来年は、新芽を食してみたい。

ところで、前回記した「ヤマボウシ」25日前には黄緑かかっていたが
今は真っ白。木の周りぐるりと、際立たせるように、咲いている。
1か月前にも「花盛り」と思ったが、今はもっと「花盛り」と思ってしまう
くらい白い花がくっきりと美しい。


2012/06/03

2012-06-01:ヤマボウシ


ミズキ科 ミズキ属 ヤマボウシ
中央の花を坊主頭、4枚の花弁を白い頭巾に見立て
山法師(ヤマボウシ)









うちの庭では「ヤマボウシ」がシンボルツリー。
家のデッキの傍の一番いい場所に植わっている。
夫が家ができる前から、山で目を付けていたものだけあって、
整った樹型だ。何もないこの庭に一番先に来た。
よく成長し、ここの来た年から毎年50センチは伸びる。

真ん中のつぶつぶが花、白い花弁に見えるが総包片なのだそうだ。
真っ直ぐな柄が枝の先に揃い、木の形を白い花で絵取っているようだ。
今、2階からこの樹を見ると、樹のテッペンは白い花序で埋め尽くされている。

梼原町のメインストリートの街路樹はヤマボウシだ。
まだまだ、道の広さと比較すると幼樹と思えるが、
成長が早い樹なので、数年先が楽しみである。

この樹、春は新緑、夏は花、秋には赤い実、続いて紅葉と
一年を通して、楽しめる。
実は甘く、鳥がついばみにやって来て、こちらも楽しみ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
追記
玄関先のメダカの水鉢の壁にピタッとくっついたアオガエル。
玄関の外灯に寄って来る虫目当てらしい。
夜には、グゥワー、グゥワーと結構大きな声でカエルの歌を歌っている。



2012/05/25

2012-05-25:コガクウツギ














ユキノシタ科 アジサイ属 コガクウツギ 落葉低木
ノリウツギと名称を間違っていました。
教えていただいた「花道楽」さんありがとうございました。
このコガクウツギも糊の原料となるらしいです。
ウツギは「空木」。茎が中空のため。
























初夏は白い花の季節である。
日ごとに深まる緑とのコントラストの中で、鮮やかさに目を奪われる。
しかも、白い色は、純真で清潔なイメージがあり、この季節の白い
花を見ていると清々しい気分になる。

しかし、イメージを作り上げているのは、私たち人間で、
白い花たちは、それぞれ、訳あって、白いのであろう。

昨年、牧野植物園のイベント「夜の植物園」に参加した。
そこで見たのは、
夜行性の虫たちにあわせ、夜に開く花たち。
強い香りを放ち、強力に虫たちの気を引く花たち。
ターゲットを絞り込んだ特別仕立ての構造をした花たち。
そして、夜の花は大概は「白」であった。
白い花弁は、色素を持たず、光が乱反射するから「白」なのだという。
白は夜行性の虫たちを呼び寄せるのに役立っているのだそうだ。

強い香りに酔いながら、太古の昔から、ギブ&テイクの関係で、
共に進化した花と虫の命を感じたのだった。

ところで、
このコガクウツギの白い花、香りは微香程度。
小さい花が本物、大きな花弁の花は装飾だとのこと。
きっと、訳あって、装飾花を持っているのだろう。

2012/05/23

2012-05-23:バイカイカリソウ


メギ科 イカリソウ属 バイカイカリソウ







































深まる緑の中で、小さな白い花が、爽やかに揺れている。
バイカイカリソウである。
バイカイカリソウは、他のイカリソウの花が終わるころから
咲き始める。花の形は名前由来のイカリの形からは遠く、
「梅花」である。
葉の形は「イカリソウ」と区別が付かないが、
茎の別れ方は「イカリソウ」が3本づつが2回で、一つの茎に9枚の葉。
「バイカイカリソウ」は2本1回で、一つの茎に2枚の葉だ。
どちらの葉も、花に劣らない美しい形とほどよい艶がある。

今朝は、葉のみをガラスに差し、窓際に置いた。

それにしても、
毎年この季節になると、白い花に目を奪われる。
初夏はまさに白い花の季節である。
新緑とのコントラストで、楚々とし、しかも鮮やかだ。
「ウツギ」「ドウダンツツジ」「ノイバラ」「ヤマボウシ」・・・・と。


2012/05/13

2012-05-13:アメリカナデシコ

ナデシコ科 ナデシコ属 アメリカナデシコ
今日は母の日、カーネーションと同じ科、同じ属


















ある朝、なんとなく気配を感じて、玄関に出てみると、置いてあった。
立派なナデシコの鉢植えである。
贈り主はゴウスケさん。すぐわかった。
「NPO法人絆」の理事長、「鷹取キムチの里づくり実行委員会」の代表、
そしてこの3月まで梼原町初瀬区の区長を16年間も務められた。
前向きな姿勢と行動力の人で、私は熱く尊敬している。

ナデシコでもこれは「アメリカナデシコ」、色が多彩で鮮やか、花期が秋までと長い。
「女子サッカー 撫子ジャパン」が世界優勝を果たした時、
「これからは、撫子だ。撫子を植えちゃろ。」と、
韓国レストラン「鷹取の家」の花壇に、たくさんの撫子を育てられていた。
その花が、今、盛りだ。

その花をいただいたのだ。大事に育てられていたので、申し訳ないと
思うと同時に感謝の気持ち一杯。

ところで、鷹取レストラン、本格派韓国料理が食べられる。しかも美味しい。
先日、講師をお願いした高知市在住の公文睦子先生(フードコーディネーター)も、
「高知市にはこんなに本格的な韓国料理が食べられるレストランはあまりない。」と
言われていた。愛媛大学農学部のk助教も「松山市にはサムゲタン?を
出せる韓国料理店があまりない。」と、鷹取の料理を喜ばれていた。

鷹取の家はこちら↓
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/120301/0401720.html
http://tosagourmet.jp/shop/takatorinoie/


2012/05/12

2011-05-12:枝分かれのパターン

植物を見ていると、葉の付き方、枝の分かれ方、花の付き方などなど
パターンがあることに気が付く。
一度パターンの目を持つと、何でもパターンの図を見てしまう。

そういえば、神経や肺胞もパターンの図ですよね。とかね。

この植物は、枝分かれに特徴的なパターンを持つ。
3つに枝が別れ、真ん中の枝は花一つ。
左右の枝からは、各々3つの枝分かれ。
この3つの枝のうち、真ん中の枝は花一つ。
左右の枝からは、各々3つの枝分かれ。
・・・・・・・・・・・・・・・。
という具合。

枝の先端





























枝分かれのパターンの繰り返し













ところで、
もともとを言えば、パターンの目を持ったのは、
この植物の名前を知りたいと、
特徴を伝えるために観察していたから。

この植物の名前をご存知の方、ぜひお教えください。
もう、パターンの目から開放されたい。
コメントか、メールにて↓

2012/05/06

2012-05-06:ヒメシャガ

アヤメ科 アヤメ属 ヒメシャガ




















5月5日は「こどもの日」、若葉色の「うちの庭」に、
小さな鯉のぼりが泳いでる。

娘の結婚した相手の実家には昔からの言い伝えがいくつかある。
その中のひとつに「お節句はしない。」がある。
なにか理由があったのだろうが、今となっては知るよしもない。

恐る恐る小さな鯉のぼりを購入し「うちの庭」の真ん中で
泳ぐこととなって、今年は6回目の「5月5日」だ。

端午の節句には「菖蒲」が縁起物で飾られたり、
菖蒲湯にしたりする習慣がある。
「健康」と「成長」を祈ったのだ。
この「ヒメシャガ」は、菖蒲と同じ「アヤメ科」の植物。
鯉のぼりの横で爽やかに咲いている。





















2012/05/05

2012-05-05:アマドコロ

ユリ科 アマドコロ属 アマドコロ






































昨日(2012-05-04)ブログ「うちの庭」「ホウチャクソウ」
という名称でアップしていた写真は「ホウチャクソウ」ではなく
「ナルコユリ」だと情報をいただいた。
正直なところ、自信のない私、家族の言葉を疑いもせず、
一応形だけネットなどで調べて、ブログ掲載となる。
実をいうと、今回は、ネット検索過程で、写真を見ながら
「う〜ん、本当かな?」と思っていた。
連絡後、もう一度、疑問の目で見たら「違うな」と確信して、
写真を撮り直し、昨日のブログ写真「ホウチャクソウ」は取り替えた。

そして、丁寧に「牧野日本植物図鑑」を調べてみた。
「アマドコロ」と「ナルコユリ」はあまり違いがない。
葉に柄があるのが「ナルコユリ」。「ナルコユリ」の茎には稜がない。
アマドコロの茎に6本の稜があって、触ると、滑らかでなく、紫緑色。
また、花期もナルコユリが1ヵ月遅い。

とすると、昨日間違えてアップしていた植物はどうも「アマドコロ」だ。

それにしても、3つの似た者は「ユリ科 アマドコロ属」同じ分類だ。
昨日も書いたが、「ホウチャクソウ」は有毒植物。
残りの2種は、山菜として食べられる。
30年前の私なら「ホウチャクソウ」を間違いなく食べていたところだ。

「危ない。危ない。」

先日、新聞に、「トリカブト」を山菜と間違え死亡した記事が載っていた。


2012/05/04

2012-05-04:ホウチャクソウ


ユリ科 アマドコロ属 ホウチャクソウ






































細長く下にぶら下がった花は、葉の色との差が少なく目立たないが、
よく見ると、白から先の方に行くに従い黄緑色でたいへん美しい。
うちの庭では、あちこちから芽を出し、かわいい花をつけている。
どこからか移植したわけでもなく、こけや木についてうちの庭に
やって来たようだ。
ホウチャクソウは有毒植物である。
食べられる「ナルコユリ」「アマドコロ」と姿形が似ているので、
注意が必要だ。

春は山菜が旬、
私は、ある山荘で山菜料理をご馳走になったことがある。
その時、食した天ぷらは今も忘れられない。
揚げたての「タラの芽」や「ウドの葉」の天ぷらは逸品だった。
以来、当分の間、山菜の本を片手に、野山に分け入り
何でも料理してみた。家族は、新参者の私に遠慮して、
何にも言わず食べていたのだろう。
30年以上経た今、
「あの時の・・・・は、あくが強うて、食べれんかった。」
などなど・・・言われる。舌の記憶は強烈に保持されるのだ。
こうした経験?を積み重ね、今では、家族に信頼?され、
楽しみ?にされる山菜料理人に成長した。
今夕は「ミツバの白和え」「ウドの酢みそ和え」「ウドの皮のキンピラ」
を作って、家族の好評を得た(と思う)。

ホウチャクとは「宝鐸」。「宝鐸」は寺院の軒先の四隅に吊り下げられた飾り。
名前は花の垂れ下がって咲く姿が「宝鐸」に似ていることからとか。


2012/05/01

2012-04-30:スズラン

ユリ科 スズラン属 スズラン






































漢字で書けば、鈴蘭。
花言葉は「幸福の再来」「意識しない美しさ」「純粋」。
名前も花言葉も美しい。「かわいい」姿によく似合う。

先日(大分前のことですけど)、孫を幼稚園に迎えに行った道すがら、
公園で中学女子の集団が
「きもかわいいよね。」
「そうながよ、きもかわいい、きもかわいい。」
「きもかわいい」という言葉を連発して、盛り上がっていた。
何の話をしていたのか分からなかったけれど、この田舎で
使われていることに妙な新鮮さを感じた。
お笑いのアンガールズが「きもかわいい」と言われていたから、
ああゆう「得体のしれない感じ」に使っていたのかしら。

「かわいい」にもいろいろある。
スズランの「かわいい」と、「きもかわいい」の「かわいい」は
ちょっと違うんではないかなあ。
私の「かわいい」は「小さくて、可憐、美しい」というイメージ。
似ているが、「愛嬌がある」とか「愛すべき」とかの意味も
あるので、アンガールズの「かわいい」はこの辺りの意味で
使われているのだろう。
「おじいさん」や「おばあさん」あるいは「上司」に対しても
「かわいい!!」と・・使ったりもする。
この前、新聞に「仏像」を「かわいい」と表現していた。
現代の「かわいい」は、本当に多様である。

ところで、「キレイな花には棘がある」とはよく言ったものである。
スズランは全草に棘ならぬ有毒物質が含まれていて、摂取すると、
「嘔吐」「頭痛」「めまい」「血圧低下」「心臓麻痺」と
死に至るときもあるという。

さしずめ「スズラン」の「かわいい」は
「しびれる」と「かわいい」を複合させ「しびれかわいい」。
いかがでしょう?

2012/04/28

2012-04-28:オキナグサ







































1ヵ月前の3月28日に掲載していた「オキナグサ」http://uchi-niwa.blogspot.jp/2012/03/2012-03-28.htmlは、本当に
「翁」になりました。
写真は、雨上がりで水分を含んでしずくが落ちています。
白い毛のようなものの下部は種子で、乾くと毛はフサフサとなり、
種子とともに、風に乗って、拡散していきます。
繁殖力旺盛で、うちの庭で増え続け、今年は石垣の
僅かな土からも芽が出てきました。
このオキナグサ、有毒植物、身体から分泌される液汁で皮膚炎、
食べると嘔吐下痢、痙攣、心停止に至ることもあるそうで、
なんだか、見た目どおりに「オドロオドロ」しい。
かと思えば、毒は薬となることが多々あり、オキナグサも
下痢などに効果がある「白頭翁」という生薬だそうだ。

ところで、先日四万十財団の取材を受けました。
ブログ「森のハナシ」http://matsubara-forest.blogspot.jp/
「うちの庭」が記者の目に付き、関心を持っていただいたのです。
25日の
清流通信「四万十川物語」http://shimanto.or.jp/wordpress/?p=1063
のネット配信日には、普段の3倍〜4倍くらいのアクセスがありました。
恐るべしですね。続ける励みになりました。感謝。


2012/04/27

2012-04-27:オダマキ

キンポゲ科 オダマキ属
見えている青紫は萼。花弁はこの内側にある。







































「オダマキ」は漢字で書くと「苧環」。
花の形が「苧環」に似ているから名前が付いたのだとのこと。
「苧環」は「苧」を円く巻いたものを言うとある。

う〜ん、分からない。ネットなどで調べても。
「苧」は「カラムシ」のことなのか? 「環」は「わ」?

「カラムシ」は、イラクサ科の多年生植物で昔から植物繊維を
穫るために栽培されてきたものだそうだ。

梼原町松原の久保谷ロードを歩いている時、ガイドの方から、
「昔はこの植物の皮を裂いて、糸を縒り、服を作っていた。」と
案内いただいたことがある。多分あれが「カラムシ」だ。
ここらへんではどこにでもある植物で、夏には1メートルから
1.5メートルほどの高さになる。
「苧」?、「カラムシ」?と思っていたのに
急に身近なものに感じられた。

「環」は「糸を巻き取る木枠」のことではないか。
今では、インテリアのお店などで、花を置く台などとしておしゃれに
活用されていたりする。梼原町民族資料館にも展示されていたような。

そう言えば、花の後部の角のような突起は糸を巻く木枠に似ている。

あ、名前の理由、やっと納得できた。

花言葉は「必ず手に入れる」「愚か」「断固として勝つ」
意外な言葉である。


2012/04/26

2012-04-25:ヤブエビネ

ラン科 エビネ属 エビネ
中国生薬名は九子連還草で血液の循環をよくし、
育毛に効果があるらしい。








エビネは漢字で書くと「海老根」、茎と根っこの接合部は
球茎と呼ばれ、いくつかの球茎が節のように連なっており、
この形が海老に似ていることから名付けられたのだそうだ。

エビネが大変なブームだったころがある。
いや、和蘭全体がもてはやされた。
ここら界隈でも、和蘭の展示会が盛んに開催され、
高値で取引されていた。
そのころは、エビネを栽培する「エビネ小屋」を、
作っていた人も結構いて、「これは珍しいエビネで・・・
・・・・どこどこで手に入れた・・。」と自慢話が
尽きないものだった。

このエビネはヤブでそういう投機対象には全くならない
種類らしいが、私はむしろこのエビネが趣があって好きだ。
もと住んでいた家地から移植したものだが、生育条件が
合うのか、年々増えている。

88歳の義父の話では、もともとうちの山に自生していたものを
ずっと前に、移植したもの。山中のエビネは、年中陽が当たらなく
なったから、「もう、消えちゅうろうね。」と。
そう言えば、前回の「クマガイソウ」についても
同じように「陽が当たらんなったら、消える。」
と言っていた。
環境省の保全状況評価ではヤブエビネは準絶滅危惧、
クマガイソウは絶滅危惧Ⅱ類だ。
義父の話から、これは、あながち、乱獲、盗掘だけが原因ではなく、
植林等により山野の植生が変化した結果だとも言えるのではないか、
と思った。

2012/04/23

2012-04-23:クマガイソウ


ラン科 アツモリソウ属 クマガイソウ
膨らんだ花弁が昔の武士が背負った母衣(ほろ)に
似ているところから、武士である「熊谷直実」に、
また同種のアツモリソウは「平敦盛」に充てた名前と言われている。









































「はっ !!」と目を引く。それほど、特徴的な植物である。
初めて目にしたのは、梼原町の四万川地区のお宅をお邪魔した時。
白壁の塀に囲まれた庭一面に、この扇形の葉が同じ高さで広がっていた。
塀の外からは想像もできない光景だった。
庭木も剪定がきちっとされ、雑草一本ない庭であったので、
ここの主人の趣味で、葉をまあるく切りそろえたのではないか
と思ったほどだ。
用件が終わり、早速この植物の名前を聞いてみた。
あいにく、ご主人は留守で奥様だったからか、名前はご存じなかった。
「嫁に来た時にはもうあった。」とのことだった。
もう20年以上前のことだ。

うちの庭のこのクマガイソウは、うちの山から移植したものだ。
初めは、3本ほどだったが、生育条件が合っているのか
今では30本くらいある。
ウィキペディアによると「絶滅危惧類」で移植も入手も
慎重であるべきだとあった。
なんだか申し訳ない気もする。

ところで、前回載せた「ユキモチソウ」について
植物に詳しい「夫」と「長女」に話したところ、
「へえ、知らんかった。おもしろいね」と関心を示してくれた。
たまには、こういうこともあるわ・・・・・ふふ 。

ちなみに、本日、晴天、「ユキモチソウ」を覗いてみると、仏炎苞の付け根の
花序付近に虫が侵入しており、這い上がるのに難儀をしていた。


2012/04/19

2012-4-19:ユキモチソウ

前々頁に載せていたユキモチソウがエキゾチックなカラーを広げ、
葉を出してきた。カラーは紫褐色に白い縦のストライプ。
乳棒の形をした真っ白と相まって、おしゃれで気高さを感じさせる。

カラーは仏炎苞(ぶつえんほう)といい、サトイモ科の特徴。
サトイモ科では、仏炎苞が、花弁の役割をして、
それぞれが特徴ある色や形に発達し虫も人も魅了する。
加えて、この仏炎苞、虫を花の中に長く滞在させ、
受粉率を高める役割もあるのだそうだ。
ユキモチソウは雌雄異株で、成長するに従って、
無性、雄性、雌性と性を転換するとのこと。

おしゃれで目立つ訳が分かりました。
雄としても、雌としても虫を惹き付けなければならないから。
しかし、うちの3本は毎年同じ場所から芽を出すだけ。
一向に増える気配がないのは、この3本が、まだまだ未熟なのか、
それとも、増殖の仕組みが現在に合っていないのかしら・・・・・。

仏炎とは不動明王像が背後に放っている炎のこと。

2012/04/12

2012-04-12:イカリソウ

5日前の激しい風の後、一気に春酣(たけなわ)。
暖かく、穏やかで、明るい日差しが眩しい。
冬の間、じっと耐えていた木々も草々も芽を吹き、
全てのものが蠢き、力をみなぎらせているように感じる。
うちの庭でも、小さな山野草が次々にあちこちで花を咲かせている。
今日はイカリソウ。写真の3色が一斉に花を開いた。
3種とも「大野が原」からきたものです。

イカリソウの名前は、4枚の花弁が反り返り
錨の形をしているところから。
葉の付き方も特徴がある。
1本の茎から3本の茎が2回出て、その先端に葉がついており、
1本の茎に合計9枚の葉が付いていることになる。

ところで、この植物、生薬名を淫羊霍という。名前の由来は、
ヒツジがこれを食べて精力絶倫になったことからとか。
生薬名も「春」を連想させますね・・・・・。

私はというと・・・・う〜ん、眠い。やたら眠い。朝、昼、晩いつも眠い。
『「春眠暁を覚えず」だから』と言ったら、「いつもやん」という
家族の冷たい反応・・・。




2012-04-11:ユキモチソウ

光を受けて金属っぽい。
得体の知れない物体のようだ。

ユキモチソウ  サトイモ科多年草 テンナンショウ属

今年も、3本、春の植物の間からすくっと立ち上がった。
「一本一万円するぞ。」と言ってもらったものだ。

2012/04/03

2012-04-03:シュンラン







































先週にはよく風が吹いて、寒波は吹き飛ばされたかに思えます。
「春一番かな」なんてちょっとうれしく思っていましたが、
「春一番」とは立春から春分までに南の高気圧から吹く風で、
吹いたあと、前日よりも気温の上がること、を条件に観測するのだそうで、
むしろ、私の頭の中の無知がひとつ吹き飛ばされたのでした。
チャン、チャン。

ちなみに、今年、関東では春一番の観測はなかったそうです。
この辺りではどうだったのでしょう。
特に興味があるわけでもないですが、
自分の感じた“あの突風”がそうだったらいいな、なんて思うのです。


さて、シュンラン。
その名のごとく、春に花を咲かせることから「春蘭」です。
うちでも、ツクシのようにひょろ、と茎をのばし、
赤い斑紋の入った口をぴらり、と垂れています。
触ると葉は鋸葉でざらり、とした感触をしています。

他の野草と色はほぼ同じ、花にも華やかな色がありません。
(種は別にして、キイロなどの色のあるものも)


別名で「ジジババ」。
頭がほっかむり、口元にヒゲ、という説もあり、
あるいは、両性の性器がくっついているように
見えるから、という説もあり。
素朴で野趣があり、文人たちによく好まれて
茶器や椀などのモチーフにもされているんだとか。

2012/04/01

2012-04-01:ヒゴスミレ


















ヒゴスミレです。
個人的な意見ですが、ともかく、白いスミレ、とはなんとなく馴染みが薄い。
半年前、秋のころにだって、咲くのをとても楽しみにしていたのに、
実際に咲いているのを見て、拍子抜けをしてしまいました。
スミレは「紫」でないと、なんとなく気分が盛り上がらなかったりして。
「スミレ」とは、「墨入れ=墨壺」に似ていることが由来かもしれないと、
牧野富太郎先生は言ったとか(Wikipedia「スミレ」による)。
“墨”とは、紫に近い色の部分を見せることもあるし、
期待するのは、アヤシイ色なのです、ゴメンナサイ。
それに、「スミレ色」はやっぱり淡く上品な紫ですもの。

そういえば、突然に思い出しました。
紫というならば、夏目漱石の『虞美人草』にて、
“ウーマンリブ”な悲劇のヒロインの登場シーンは“紫”でした。
紅を弥生に包む昼酣なるに、春を抽んずる紫の濃き一点を、天地の眠れるなかに、鮮やかに滴たらしたるがごとき女である。夢の世を夢よりも艶に眺めしむる黒髪を、乱るるなと畳める鬢の上には、玉虫貝を冴々と菫に刻んで、細き金脚にはっしと打ち込んでいる。静かなる昼の、遠き世に心を奪い去らんとするを、黒き眸のさと動けば、見る人は、あなやと我に帰る。半滴のひろがりに、一瞬の短かきを偸んで、疾風の威を作すは、春にいて春を制する深き眼である。この瞳を遡って、魔力の境を窮むるとき、桃源に骨を白うして、再び塵寰に帰るを得ず。ただの夢ではない。糢糊たる夢の大いなるうちに、燦たる一点の妖星が、死ぬるまで我を見よと、紫色の、眉近く逼るのである。女は紫色の着物を着ている。『虞美人草(夏目漱石)』
男どもの心をぐいっと掴む、まばゆい登場シーンです。
明治に描かれたこの物語で、
美しくも新しく、モダン、教養も深く、奔放な女は紫。
男たちは、彼女をいかに“所有”するかを競い、
女たちは、彼女にいかに“勝利”するかを競います。
要するに、彼女の周辺が紫に“アタる”のです。
この後、クレオパトラの描写がありますが、
やはりどこか心を不安にさせる色彩です。
そして『虞美人草』の最後では、クレオパトラ同様、
ヒロインがパッと散って終わります。
美しい女の散り際はどうにも心に残って、
「なぜ死んだか」が今も論争のテーマになるくらいです。

スミレの魅力とは、妖しく穏やかでない色なのかもしれません。
…なんて言うと、何色にも染まっていない
真っ白なヒゴスミレに失礼ですね、ゴメンナサイ。
そういえば、『虞美人草』でヒロインの対局として描写される、
“ありきたり(物語では)”で古風な女は、
白や桃色、赤など“シアワセ”を醸しているのはおもしろい。
最終的に、男たちは彼女を“所有”しきれず、女たちも“勝利”しきれず、
シアワセとして身近で得やすいところを選び、
その瞬間、ヒロインは命を失うのです。
一説には、漱石は最後まで描ききれなかったともいわれています。
「漱石最大の失敗作」と言われる小説『虞美人草』ですが、
失敗作ゆえか、意図せず正直に、まっすぐに
意識が滲んでしまったように感じられる小説です。
(ロンドン留学にてノイローゼを経験した後の小説なので)

今日は新しい季節(=年度)の始まりですが、
眺めれば、雲の流れるスピードが早く、
晴天と曇天がみるみるうちに交互します。
それで、目に映る外の色は、安定感を欠いた色合いです。
そんな日は、純粋無垢な白いスミレにしておきましょうか。

そして今日は、エイプリルフールなのですね。

2012/03/29

2012-03-29:アンズ





























父曰く、「UFOみたいなトリミングで載せてや」とのこと。
露のしたたる杏のツボミは、こうして寄って見ると、
確かに穏やかでない雰囲気です。
父の指示通りのトリミングとはちょっと違うかもしれませんが、
なんとなく、こうしてみました。

梅より遅れて。
桜よりほんの少し早い杏の花。
春の度合いを多くの人に知らせるそのふたつの間で、
そのどちらとも趣を少しダブらせながら
しかし“どちらでもない”というところがたまらない。
春の訪れに対して、人よりも繊細・敏感なようでちょっとうれしい。
とはいえ、桜でなく杏の花も花見の対象になるようです。
ま、見ているのが「杏の花」かどうかは、
“花より団子(もしくは酒)”の人(=ワタクシ)には
まるでドウデモイイコトになってしまうのですが。

初夏には実も。
食用にはもちろんですが、杏は薬用にもよく使われます。
貧しい人から診察代をとる代わりに杏を植えてもらった
なんて逸話が中国の呉の時代からあるそうで。
そのくらい、効果も高く、かつ身近だということ。
美しく、甘く、実用的。非の打ち所がありません。

…となると、はたして。
「杏あまさうな人は  睡むさうな」室生犀星
だそうで。あ、やっぱり。はは。

2012/03/28

2012-03-28:オキナグサ


















オキナグサのことを知ったのは、はずかしながらここ数年のこと。
庭に白髪が生えたみたいな植物があったので、
「これ、なあに?」と聞くと、「オキナグサ」と答えが返ってきました。
名前を聞いて「ほほぅ、うまいこと」と感心したので、
早くオキナグサのことを紹介したかったのですが、
どうもイマイチ、タイミングが合わないまま、春がきました。

やっと息の合った今日。
私にとっては、初めて見るオキナグサの花です。
別名「ネコグサ」とは、シャム猫あたりの気高い感じでしょうか。
芝付の  御宇良崎なる
ねつこぐさ  あひ見ずあらば                
我恋ひめやも
「ねつこぐさ(=ネコグサ)のようにかわいいあなたに
逢うことがなかったら、こんなに苦しむこともなかったのに」
と、男性から女性への恋の和歌は、万葉集に詠まれています。
調べてみれば、能楽の「善界」で大天狗善界がかぶる赤熊に似ていることから、
別名「善界草」と呼ばれているとも書かれていました。
この善界とは、野心が旺盛過ぎるがために、
不動明王などから追い払われてしまう坊主のことだそう。
「オキナグサ=翁草」とは漢字のごとく、説明は記録しなくていいでしょう。
やはり見た目に特徴あり、と、過去の人もしたのですね。
銀色に毛羽立つ茎や葉からのぞく深い赤紫の顔は、
おどろおどろしくも色気が漂い、“ケッタイ”ながらに風流です。

暖かくなったり寒くなったり、なんとも移り気なこのごろです。
つい今先ほども、こちらでは雪が少し見えたのですが、
もう今では柔らかい日差しが差し込んできています。
こうして花の咲いているものは、
大丈夫、というしるしなのでしょうか。

2012/03/27

2012-03-27:オオイヌノフグリ


















この写真は、3月の半ばほどに撮られたもの。
連続する暖かい日は新しい季節の到来の予感。
3月半ばとは、そんな日々のことでした。
その一方で、昨日の午前中には雪が降り、
4月間際にきて、まだ冬を名残惜しむような寒さです。
三寒四温、うん、まさしく。
いくら早い春に咲くからといっても
さすがに雪は想像しなかったでしょう。
このオオイヌノフグリ、想像するに、勇み足だったんでしょう。

さて、オオイヌノフグリを見ると、
その度ごとに私は3歳ごろの自分に戻ってしまいます。
「イヌの顔と似てるでしょ。だからオオイヌノフグリ」
耳の奥で響くのは姉の声。
毎度のように聞こえる、未だ鮮やかなその声に
ぷぷと笑いをひとしきり蓄えて、33歳の現在の自分に還ってきます。

姉に「イヌの顔と似てるでしょ」と言われたとき、
私は、少し間を置いて、「うん、似てるね」と答えたのでした。
でもその後もずっと何年も、見るたびに
「どう似ているのだろう」という疑問がふつふつと頭を支配し、
「ひょっとしたら、“オオイヌノフグリ”って、
犬も顔を近づけたくなるようなかわいい花ってことかな」
なんていう逃げ道などを、いくつもいくつも構えるほどに
この名前と花の顔に、静かに心をかき乱されたものです。
「だって、お姉ちゃんが似てるっていうんだもの。
似ているように見えない私は恥ずかしい」なんて、従順な妹でしょう。
そんなことで、数ある春の花の中でも、
オオイヌノフグリは強く強く、私に春を訴えてくる花となったのでした。

実際のところ、
「名前のフグリとは陰嚢の事で、実の形が雄犬のそれに似ている事からこの名前が付いた。ただし、これは近縁のイヌノフグリに対してつけられたもので、この種の果実はそれほど似ていない。だから、正しくは、イヌノフグリに似た大型の植物の意である」
というのが由来のようです。(出典:Wikipedia「オオイヌノフグリ」
雄犬の「それ」と似ている果実(種)を持つイヌノフグリと
近縁にあってちょっと大きな花だから、なんですね。
「先に名付けられたのがイヌノフグリでなくこちらなら、
もっとかわいい名前がつけられていたことでしょう」
などというコメントのあるサイトもありました。


つまり、イヌの顔と花の顔は違うように見えてもよかったのです。
後年、姉に「ね、似てないよね」と言うと、
「そんなこと思ったこともないし、そんなこと言ったかしら」
というような、つるんっとしたハテナ顔で返されたのでした。


姉の言動への少しくらいの疑問はいつもぐっと胸にしまい込んだものでした。
そうしているうち、暗黙のうちに姉の挙動は、
私にとってたくさんのことの判断の基本になっていたように思います。
逆に、姉から見た「イヌの顔と似てるでしょ」は、
私に花を愛でる楽しさに共感してほしかった姉の心情が伺えて愛おしい。
とても些細なオオイヌノフグリの話ですが、
このことは私と姉の関係を象徴しているようで、
オオイヌノフグリを見る度にやっぱりぷぷっと笑ってしまいます。

昨日、季節外れの雪に見舞われ、この花は道の中で目立たず、
花を閉じ(実際に、開いたものを閉じたのかどうかは、おいといて)
じっと身をこごめているように見えました。

春よ、早く、早く、こい。

2012/03/20

2012-03-20:サンシュユ

あまり格好がいいとは言えない落葉した木の枝の途中に、
突然、黄金色の小さな花を見つけました。
思わず、「あっ!!」って言ってしまいました。


ミズキ科 ミズキ属








































うちの庭にきて5年くらいですが、樹型がよくないし、
大きくならないので、切ってしまおうかと考えていた木でした。
切らなくてよかった。

サンシュユは「山茱萸(さんしゅゆ)」山のグミの意味。
日本薬局方「山茱萸」 果実(赤い実)を使う。 
腎臓、肝臓機能亢進、強壮