2012/07/13

2012-07-13:カキラン

写真は6月の半ばほどに撮影。
カメラのレンズも新たにしたので、
昨年撮影したものより大きくキレイに撮れました。








































突然ですが、NHKはEテレの『デザインあ』という番組をご存じ?
デザインの考え方、というよりもむしろ、
物の成り立ち…たとえば、道具の基本デザイン、表示の機能デザインなどを
子どもにも大人にもわかりやすく柔らかく見せている番組で、
凝り固まったアタマをほぐすのに、とってもオススメ。
その『デザインあ』には、デザインに関わる人に、
インタビューに答えてもらっているコーナーがあるのですが、
先日(1か月ほど前か)、今治タオルのブランディングにも関わりの深い、
超有名CMディレクターの佐藤可士和氏が登場しておりました。

彼の話にテーマを与えるならば、「目に飛び込んでくるデザイン」。
デザインの仕事に当たっていつも考えていることは、
すぐに目に飛び込んでくる色やカタチを作りたいなと思う、
といったことでした。
今治タオルの他、SMAPやらユニクロ、
ポカリスエットやカロリーメイト、特筆すべきは「ふじようちえん」…、
興味のある方はぜひ検索してみてください。
確かに彼のつくるものは、
「目に飛び込んでくるデザイン」だと納得できることでしょう。

「目に飛び込んでくるデザイン」。
別の角度から見ると「違和感を創る」みたいなことだし、
お笑いの角度から言及するなら「つかみ」にあたるのではないでしょうか。
つまり、「違和感に惹かれる」「ココロをつかまれる」とは、
植物界にもあって、たとえばユリなんかは、
すでにポピュラーな存在とはいっても、
あの堂々たるルックスでは、遠くからでもすぐに目に飛び込んでくる。
それに、あの匂い。
「ユリだね〜」なんてことは、見えてなくてもわかってしまうのです。
…ともかく、人を「つかめた」かどうかは別として、
確実に、自分が生きるための作業員(多くは虫)のココロを
ぐぐぐっとつかんでいるのです。

じゃ、このカキランならばどうでしょう。
葉のミドリも、花の柿渋色も野草の中では紛れて馴染んで目立ちません。
カキランの生態を検索してみても、楚々と控え目な様子ばかりが伺えます。
(「比較的目立たない花ではあるが…云々」との説明ばかりが
目に飛び込んでくるのは私だけでしょうか)
つまりこちらは、探して見つけて、みんなに知らせるというより、
ひっそりと「自分だけの喜び」を味わう、といった趣が強い。

昨年の6月末ごろ、こちらでも同じように紹介しました。
稀少性の高まっている植物なので、
「来年は無理かな〜」なんてことも一部話していたのですが…。
今年のは、昨年よりも力強くうちの庭にはびこっております。
根性…? でしょうか。

昨日のキュウリと言い、どうもうちの庭は、
「一念奮起…?」といった感が漂っているようで…。

2012/07/12

2012-07-12:キュウリ

タクマしく育ってほしい、お二方でございます。
ちなみに、これ、1週間前の姿です。


















俄に、数ヶ月前から、ニューストピックスとなっているのが、
この、側溝からムクりと出てきたキュウリ。
うちの畑からやってきたのか、
サル(うちの畑の天敵)が仕込んだのか、
とにかくアスファルトと石垣のすき間に現れた意外な緑は、
いわゆる「図太さ」「たくましさ」の類の象徴として
うちに居着いた模様なのです。
実際に実をつけるか、つければ天晴れ、てなとこでしょう。

さて、キュウリ。
その歴史は遥か彼方、メソポタミアに遡り(えらい昔ですな!)、
シルクロードを仏教とともに…かどうかは知りませんが、
日本へと、流れ流れて入ってきたのは平安時代。
(キュウリの「胡」はシルクロードを渡ってきたことを示す文字らしい)
品種改良が施されないままに江戸を生き抜き、
幕末なってようやく、江東区(当時は砂村)にて、
今のような、「瑞々しい」「シャキシャキ」に生まれ変わったとのこと。

品種改良前の状態を具体的に示すなら、
徳川光圀公は
「毒多くして能無し。植えるべからず。食べるべからず」とし、
貝原益軒によると
「これ瓜類の下品なり。味良からず、かつ小毒あり」と
両者とも、何のコーティングもせずにマズさを表現したことで歴然。
……ほぅ。

遠方よりはるばる参りて、苦い顔をされながら長年を過し、
耐えて耐えて、耐えぬいて、
今の「食卓のいつものお方」の地位を勝ち得たのですね。


このキュウリはどうでしょう。
こちらでも耐え抜いて、麗しい(潤わしい)実をつけるでしょうか。
それとも、猿にさえ素通りされるカナシイキュウリとなるでしょうか。
…いや、ここはやはり、行く末がどうであれ、
その生き方のたくましさに敬意を表すべきなのでしょうか。