2011/08/30

2011-08-30:ウメモドキ


















葉や枝ぶり、実のつき方も、
ちょうど“小さな梅の木みたい”といったところから
「ウメモドキ(梅擬)」と名付けられました。
花は5〜7月ごろ。
淡い紫のかわいらしい花ですが、
観賞の対象としてはもっぱら実なんだそうです。
枝ぶりの繊細さも、生け花にはもってこいだそうで。
9月に入る直前の今日は、赤い実がついていました。
12月ごろ、落葉しても実は枝に残ります。
それがまた、いいんだそうです。

花言葉は「知恵」。
この由来かどうか定かではありませんが、
どうやら実には発芽抑制物質が含まれているらしく、
小鳥のおなかを通過しないと発芽しない仕組みになっています。
今いるところからちょっと遠くへ。
そうして少しずつ、今よりもっといい場所へと移っていくんでしょう。

2011/08/29

2011-08-29:サルスベリ







































猿もツルツルと滑って登れそうにないから「猿滑」。
樹皮のコルク層は古くなると剥がれ落ち、
その下から現れる新しい樹皮によって更新されていきます。
新しい樹皮はスベスベと滑らかな感触。
木肌に触れると、夏にも関わらず、
なんとなくヒンヤリとしてキモチがいい。
この温度感覚は、ヒメシャラと似たような感じでしょうか。
他にも、ナツツバキやリョウブなどは、
同じように樹皮を更新していくので
「サルスベリ」と呼んでいる地方もあるんだとか。

フリルのような紅色の花は、7月から9月ごろに。
「百日紅(ヒャクジツコウ、サルスベリとも読む)」というのが
正式な漢字での表記のよう。
一度花の咲いた枝先から再度芽が出て花をつけ、
100日間、絶えることなく花を咲かせ続けているように見えるのです。
このことは、
散れば咲き 散れば咲きして 百日紅(加賀千代女)
などとも詠まれています。

呼び名で言うならば、
たとえば、開花時期を表し「怠けの木」と言ったりもするそうです。

サルスベリは中国南部が原産なのですが、
花の時期が今ごろになってしまうのには
中国南部の春の気温と同じごろだから、ということも言われています。
それに、幹を揺さぶると花がよく揺れることから
「笑いの木」「コチョコチョの木」などとも。
これは、幹に対して、枝葉の部分が重いからですね。

花のカタチも、たいへんに興味深い造形をしています。
これはまた、ゆっくり。

2011/08/28

2011-08-28:ヨメナ







































調べながら無意識に絵を描いていて、
ふとその絵を見てみると、
そういえば、子どものころから描き慣れた「花」の絵って、
まさしく野菊のカタチなんですね。
真ん中に黄色く密集した管状の花、
その周囲には淡い紫でサジ型の舌状花、ですもん。
これは野菊の中でもヨメナというヤツだと思います。

野菊では似たものが多くあって、

以前にも紹介したけれど、なかなか区別がつきません。
これも、「おそらく…」というレベルでヨメナとしました。
(以前の記事でも「これがヨメナ」みたいなこと書いてますが、
そっちは違うと思います)
淡い紫か白の花は秋、卵状楕円形で鋸があり艶のない深緑の葉、
というところと、見た目で勝手に判断しました。

万葉集の時代から、「オハギ」「ウハギ」などと呼ばれ、
若芽を摘んで食用としても親しまれていたそう。
おひたしやごま和えにするとおいしいらしいです。
地下茎で群落を作る“雑草”で、
油断しているとたくさんのエリアを浸食されてしまいますが、
花だけ見るととてもかわいい。

子どもから大人まで(?)ずっと仲良しの花ですね。

2011/08/27

2011-08-27:ツルリンドウ







































天気は昨日、一昨日と曇ったり雨だったりで、
特に一昨日は長袖でも十分なくらい冷えていました。
もう秋かぁ、と思っていたところに今日の晴天。
入道雲は昨日までの冷え込みを忘れたように
モクモクとアホな面して空を覆っています。
ヤマボウシの陰をのぞいてみると、
夏の終わりを思わせるツルリンドウが。
涼し気な鐘型には、水滴をいくつもつけていました。

ツルリンドウの開花時期は8〜10月。
花が淡紫色なのは見た目通り、
つるもやや紫色を帯びています。
ヤマボウシにくるり巻き付いて、
(巻き付く、と言っても、そこまで茎は長くないけど)
小さな花を可憐に咲かせています。

庭の植物も秋の彩りになっていっていますね。

2011/08/25

2011-08-25:ヤマジノホトトギス







































名の本家である野鳥のホトトギス、
雅号「子規」の「血を吐くまで鳴き続ける」を意味したり、
戦国時代の大名らに天下に例えられたり、
他に万葉集にも、枕草子でも、芭蕉にも詠まれています。
激情型なさえずりにはどこか切実さがあり、
哀し気に捉えられることも。

植物である若葉や花にある斑点模様が
鳥のホトトギスの胸にある模様と似ているから、
そういうふうな名前になってしまったようです。
花言葉は「秘めた意志」。
野鳥のさえずりは決して“秘めて”などいないので、
おそらくこれは、毎年の気象条件の変化にもかかわらず、
たとえば毎年同じ日に花をつけるなど、
そこにはあまり影響されないで生きていく姿を
評したものではないでしょうか。
また、江戸時代から観賞用とされていますが、
元来山地に生育しているため、
日陰を好むという性質からかもしれませんが。

2011/08/24

2011-08-24:タカサゴユリ







































ずっと、テッポウユリだと思っていました。
でも、よく見ると、葉がテッポウユリより細いのです。
これは「タカサゴユリ」と呼ぶそうで、
古くに台湾からやってきたらしい。
地域によっては、「ホソバテッポウユリ」と呼ぶところもあるとか。

それにしても、どこにでも節操なく生えるもんです。
先日、夏休みで広島にある母の実家へ行ってきましたが、
その道中、大洲から松山にかけてでも、中国自動車道でも、
テッポウユリかタカサゴユリかの群生が見られました。
高知自動車道でも、土佐辺りで見られますね。
ひとつずつを見れば美しいチューリップハットの形なのに、
度を過ぎた量のが集団で会議していると、ちょっと見苦しい。
うちの近所にも群生とまではいかなくても、
たくさんが点々と生えています。

2011/08/23

2011-08-23:モンキチョウ


















うちの庭やうちの庭の近辺には、たとえば先日紹介したクモの巣や、
ヘビ(神のヘビ、とじいちゃんは言っていた。縁起がいいよう)がいたり
ハチが巣を作っていたりムカデが蠢いていたりと、
できれば出くわしたくない方々も多く在住していらっしゃいます。
そんな中でも歓迎されるのは
甥が幼稚園に誇らし気に持っていきたいクワガタやカブトムシ、
それに、こんなかわいらしいモンキチョウ、といったところでしょう。

モンキチョウを今年見るのは初めてかもしれません。
開けた明るいところを直線的に飛ぶものなので、なかなか見逃しにくい。
でも、チョウというと夏が本格的になる前、という印象が強く、
少し季節外れなんじゃないかと思ってしまいました。
調べてみると、出現期は3〜11月。
つまり、冬を除く一年中、なんですね。
(幼虫で越冬、早春に羽化するそうです)

シロツメクサやレンゲソウなどマメ科の植物を食べ、
それらが生息する地帯に広く分布します。
広いといっても海をまたぎ、
ヨーロッパ南東部からトルコ、中央アジア、日本、台湾、
南の端はソマリア、エチオピアまで広がるそうで。
欧米のほうではたくさんの種類が見分けもしずらく存在するようで、
どんどん研究もされているらしい。
でも、日本では亜種は少なく見分けやすいので、
マニアが少なく、研究も日本ではあんまりされていないそう。
たしかに、日本でいうモンキチョウって、
「ふるさと」や「里山」なんていう
いわゆる「日本の原風景」というのをイメージさせます。
なんの珍しさもない、ホッとさせる昆虫なのですね。

2011/08/21

2011-08-21:ミョウガ


高知の名産物としても貴重なミョウガ。
東アジア原産のショウガ科ショウガ属で、
かつて大陸から持ち込まれたときに
香りの強いほうを兄香(せのか)と呼び、
香りの弱いほうを妹香(めのか)と呼んだそうで、
それが転じて、前者がショウガ、
後者がミョウガとなったという説が有力らしいです。
「ああ、やっぱりね」と合点がいったところでした。

ミョウガはうちの庭に植えたワケではないそうで、
だとすると、何かの苗にくっついてやってきたんでしょう。
姉も母も「わっ、ミョウガ、やったー」と大喜び。
うちのごはんには、こういった薬味がてんこ盛りなもので。

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追記

つっかけを一日置いていたら、
こんなふうになってました。
そら、度々の草刈りも必要ってことっすね。

2011/08/19

2011-08-19:リンドウ







































花は秋。
楽しみは、まだまだ先のことです。
ただ、先端を覗いてみると、
こんなふうに小さな葉がたくさんたくさん出ていました。
これは序章なのでしょうか。
でもまだ、ツボミも見えません。
花はラッパ型、草の先に上向きにつきますが、
花は日光を受けると開き、夜には閉じてしまいます。
雨や曇りの日には閉じたままです。
アサガオもツユクサもハスも、
あるいは夜にだけ咲く花たちも、
それぞれに反応する光の強さがあるんですね。

リンドウの花言葉には二つあって、
一つは「正義と共に、勝利を確信する」ですが、
もう一つには「悲しんでいるあなたを愛する」というのも。
後者のほう、群生せず一本ずつ咲くという特徴を表したもので、
うちでも確かに、何本か生えているものの、
それぞれが一本ずつスクッと立っています。

花が咲いたら、また紹介しますね。

これは春に撮ったもの。
スクッというよりも、テンテンというほうがいいですかね。


2011/08/18

2011-08-18:ツユクサ



しっとりとした立ち姿、少し明るく鮮やかな青が
小料理屋の美人女将を想像させます。
…と、なぜか子どものころから思っていました。
生育域は日本全土、アジア全域、アメリカ東北部…、
いわゆる草むらのようなところならどこにでもある雑草ですが、
「ツユクサ」という名も、その姿もどこか儚げなのが美しい。

早朝に朝露を受けて花を開き、
午後になるとその花はしぼんでしまう、
という生態自体がどこか切ない。
英語名では「Dayflower」ですが、
これは「その日のうちにしぼむ花」を意味します。
万葉集で詠まれた9首の歌も、
儚さの象徴として詠まれたものがほとんど、とのこと。

2011/08/17

2011-08-17:ハギ






































萩は、地上に見える部分は一部を残して枯死するそうです。
根本から毎年新しい芽を出し、
そのため、茎は木質化して固くなっても、
年々太くなって伸びるようなことはありません。
そんな様子を「生え芽(き)」と呼び、
それが転じて「萩」になったんだとか。
また、根粒菌と共生しているおかげで痩せた土地でもよく育ち、
荒れ地に生える“パイオニア植物”とも呼ばれるそう。

枝の先端はしだれ、
花はしっとりとした紅紫の蝶形を成し、
とても風情があるのだけれど、
その生き様は「美しい」とは対局のところにあるように思えました。
日本では古くから愛され、
万葉集では最も多く詠まれている花です。
万葉集ならずとも、多くの人が萩をどこかに匂わせる歌を詠んでいます。
夏から秋への移ろいを感じさせるワードではありますが、
「萩」とあるだけで、どこか野趣に満ちた美を感じられるのです。

何か和歌をひとつ紹介してみようかと思ったのですが、
どれも秋を表すものばかり。
さすがは秋の七種(くさ)です。

2011/08/16

2011-08-16:アサガオ







































うちの庭…ではないのですが、
家の前の石垣に、大量に咲いていました。
よく見ると、まだツボミがあって、今週は花盛りのようです。
これもいろいろな色があって、
それこそ家のすぐ近くの道端には紫のが咲いていました。
アサガオを見るとうれしくなります。
夏なのに、ちょっと涼しい気分になるのです。

小学生のころ、鉢に植えて、
夏休みに観察日記をつけたことがあります。
みんなでアサガオの前に布団を並べ、
早朝に起きてアサガオの咲く様子をじっと見ていました。
そんなことをしていたから、私にとっては、
アサガオの咲いていく様子がおもしろい。
いや、そうやってみんなで布団を並べて観察した、
ということそのものが特別に楽しい印象で、
それがそのままアサガオを見るときの
うれしい印象になっているんでしょうね。

日本には、奈良時代に遣唐使が種を持ち帰ったことで伝わりました。
そこからのものですから、日本で最も古い園芸品種になるそうで、
千利休の「朝顔の茶会」など、逸話も随分残っています。
和歌や俳句にも、もちろん。
色や姿は華やかなのに、小振りのいい大きさ。
こうして大量に咲いているのも「うわぁ」とうれしくなりますが、
蔓に囲まれた一輪咲きもなかなかにいいもんです。

2011/08/13

2011-08-13:カタバミ







































先日紹介していたカタバミですが、
「葉のカタチに人気がある」としつつも
葉の写真を紹介していなかったので再度。
…と言いながら、先日のキイロいカタバミと違って、
こちらは「たぶん花が白いヤツやったと思う」らしい。
今年は花を見ていませんが、
これもかわいらしい花をつけるのでしょう。
(今年、咲くのか??)

主には、写真右下にあるようなハート型の三つ葉なのですが、
あえて、違うカタチのを撮ってみました。
表面に細かい毛があるんでしょう。
クルリンとした露もキレイなのです。
(これは霧吹きでかけたんですけどね)

2011/08/12

2011-08-12:スイカ

ともだちができた  すいかの名産地
なかよしこよし  すいかの名産地
すいかの名産地  すてきなところよ
きれいなあの娘の晴れ姿  すいかの名産地
ま、なんというか、語呂もリズムもいいので、
たまにフッと頭をよぎる『すいかの名産地』。
(たまに…というほどのことでもないです)
この後はこう続きます。
五月のある日 すいかの名産地
結婚式をあげよう すいかの名産地
すいかの名産地 すてきなところよ
きれいなあの娘の晴れ姿 すいかの名産地
とんもろこしの花婿(むこ) すいかの名産地
小麦の花嫁 すいかの名産地
すいかの名産地 すてきなところよ
きれいなあの娘の晴れ姿 すいかの名産地
 (すいかの名産地/高田三九三訳詞・アメリカ民謡)
このぐらい、突拍子もないことに、
8月に入って植えていたスイカの種が芽を出したのでした。
食べた後の種を気まぐれに植えてみた母も、
(母の実家からきたスイカ。とてもおいしかったんです!)
「え、芽が出た。どうしよ」と少々戸惑っています。
というか、このまま大きくなったらどうしたらいいのでしょう。
蔓、結構伸びると思うんですが。
芝の上にゴロリと実が転がる姿を想像してドキドキします。
…とまぁ、小さな事件勃発、といった様子の庭でした。

それにしても、どんなものでも小さな頃は本当に愛らしい。
大きくなるなら、なりなさい。

すっかり食べてしまいました。スイカより小さい甥です。
















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昨日紹介していた「シラナイハナ」、
どうもフウロソウの花びらが散った後の萼のよう。
私はこちらの見た目のほうが好みです。

2011/08/11

2011-08-11:シラナイハナ


















ふらり、ふらりと庭を歩いていたら、
また、ワカラナイ花が咲いていました。
フウロソウに似た、カワイイ花です。
長く伸びているのは雌しべでしょうか。
花弁の端にはピッピッとまつ毛みたいなのがついています。
色は写真で見るよりももう少し茶色に近く、
だから、こんなにも特徴のあるカタチをしているのに
草むらに混じって存在感も何も全くありません。
こうして写真に撮ると
草むらの中で目立たないことが不思議に思えてきますが。

2011/08/10

2011-08-10:ハハコグサ







































春の七草では「御形」としておなじみのハハコグサ。
花の時期は本来、4〜6月のはず、
どうしてこの夏盛りの時期に咲いたのでしょう。
通常ならば間違っても秋の終わりごろに咲くくらいのもんでしょう。
秋に咲くものを別に「アキノハハコグサ」と言うそうで、
もしかしたらこれもアキノハハコグサと言うのかと調べてみれば、
どうやらそれとは、少し、カタチが違うらしい。
「秋に咲くハハコグサもたまにあるので混同注意」とありましたから。
自然のものは、季節をあんまり間違いそうにない気がしますが、
こんなふうに、ものすごく気温や湿度の感覚が鈍ったものもいます。
地中にて、すっかり寝過ごしてしまったような。
急いだけど置いていかれてしまったような。
…起きたら意外と暑かった、とか思うんでしょうか。
二年草だから、去年と(もしくは来年?)比べてみたりするんでしょうかね。

これこそ、どこででも見る植物です。
どこででも見る植物というのは、
ふれ合っている分、少し名前の由来もややこしい。
牧野博士の図鑑によると「御形」は「ゴギョウ」でなく「オギョウ」とあり、
だいたいが「ハハコグサ」の別名として「ホウコグサ」と紹介されているけれど、
実際には「鼠麴草(=ホウコグサ)」のほうが先で
それが訛って別の意味がつけられて「母子草(=ハハコグサ)」だという話もあって、
(実際、牧野博士の図鑑では「ホウコグサ」じゃないと出てこない)
なんだかワケがわからなくなってしまいます。
日本語って複雑ですね。
「御形」の表記には何か深いワケがありそうですが。

2011/08/09

2011-08-09:ギボウシ


大きなヤマボウシの陰に隠れてひっそりと育っていました。
ギボウシと言います。
つぼみや葉に包まれた若い花が
橋や神社、寺社などでよく見るタマネギ型の装飾物「擬宝珠」に
似ていることから、この名がつけられたそうです。
葉はオオバコに似ていて、なんとなくどっしりと構えた姿勢にも見えます。
落ち着いていて静か。
花言葉もこの印象がそのままにつけられています。

花は短命で、1日でしぼんでしまいます。
品種改良は、日本でも江戸時代から始まり、
なんと数百種にもなるそうで、
それは、花も葉もとても美しいことの証拠だと思います。
(だから、分類体系によって、ユリ科に分類されるときと、
リュウゼツラン科に分類されるときとがあるんですね)

いよいよお盆が近づいてきました。
明日は虫を紹介しようかなと思います。

2011/08/08

2011-08-08:ワレモコウ


















山野草として普段にもよく見る花です。
紅色のダンゴみたいな花が、モコモコとしてかわいい。
この姿から、花とは思われてないことも多いでしょう。
これは、花弁がなく、萼が花の彩りになっていることから、
こういうカタチを作っているらしい。
花弁がないということは、色が長く残る、ということでも。
秋遅くまで咲いているように見えますが、
花はすでに終わっている、ということも多いです。
今はまだツボミの状態です。
これから、上から下へと順に咲いていきます。

漢字の表記はいろいろとあって、
我もまた紅い、とする「吾亦紅」に
平安時代に額にかぶった帽額(もこう)を由来とする「割木爪」、
その他にも「我吾紅」「吾木香」「我毛紅」と。
和歌や俳句で使われることも多くて、
コトバの響きから、「我も恋う」を掛けることも。
おそらくこれも、「我も恋う」でしょう。
吾木香 すすきかるかや 秋草の
さびしききはみ 君におくらん (若山牧水)
じっくりと見れば、これもまた、美しい花なのですが、
いかんせん地味で目立たない。
だから、切ない心を投影しやすいのかもしれません。
いや、また、小林一茶の
吾亦紅 さし出て花の つもりかな (小林一茶)
みたいに、ファニーに詠んだ歌もあるんですけどね。

2011/08/07

2011-08-07:ミズヒキ







































細く、まっすぐに伸びた茎に、
米粒ほどの小さい花がチョンチョン、と。
木陰などの暗い場所に育つのもあって目立たず、
ひっそりと佇んでいます。
侘び寂びがしっくりくる控え目さ。
茶室の庭などにも好まれるそうです。

上から見ると赤、下から見ると白。
紅白の花は祝儀袋などに使われる水引に例えられ、
そのまま名前になりました。

2011/08/06

2011-08-06:ナツエビネ







































いよいよ夏がきたな、という感じです。
庭に生きる植物たちの花模様も
夏から秋にかけてのものが多くなりました。

お隣からもらったナツエビネです。
薄紫の、涼しい色をした花が、もうすぐ咲きそうにしています。
学名では「Calanthe reflexa」と名付けられていますが、
エビネを表す「Calanthe」というのは
「calos(美)」と「anthos(花)」がくっついたもので、
つまり美しい花、ということなんだとか。
私はまだ見たことがないですが、咲くのがとても楽しみです。

エビネの中では、これだけが夏に咲きます。
高山性、寒冷地で生きていけるらしく、
高知と言っても、やはりこの辺りは涼しいところなのでしょう。
それに、たくさんの地域で絶滅危惧種に数えられているので、
うちで咲いてくれるというのが誇らしく思えますね。

2011-08-05:ヘクソカズラ







































フリルのある花弁、紅紫の中心部。
中の腺毛もちらりとのぞいて、とても可憐に見えるのです。
でも、名前は「ヘクソカズラ」。
葉をもむなどして組織を傷つけると、

中の成分が分解されて臭気となってしまいます。
食害を防ぐための防衛手段だそうですが、
あまりの臭さに、その名がつけられました。
標準和名は、花の色やカタチを
お灸に模した「ヤイト(灸)カズラ」なのですが、
「ヘクソカズラ」のほうが一般的に知られています。
気の毒だなぁと思いますが、
本人らは「へぇ、そうなんだ」といった感じでしょう。
だって、生きていくのに必要な機能なんですから。

「屁糞葛も花盛り」という諺をご存じでしょうか。
不器量な娘でも、年頃になればそれなりに魅力がある、
というような意味らしく、
要するに、臭い植物なのに、花はキレイだねぇと。

雑草ですから、どんなところでも見られます。
ちなみに、「早乙女花(サオトメバナ)」という別名も。
早乙女が田植えをしている姿を模したんだろうと言われています。

2011/08/04

2011-08-04:フウロソウ







































父曰く、うちには、フウロソウが4種類あるそうです。
ひとつはゲンノショウコ。
もうひとつはシコクフウロソウ。
(紹介しようと思っていたら、いつの間にか終わっていました!)
残りのふたつが、どうしてもわかりません。
これは、その、わからないうちのひとつです。
父にわからないものが、私にわかるはずがないと
半ばあきらめながらの投稿としましょう。
予想では、アケボノフウロというのが有力ではないかと。
濃い脈が目立って、…くらいしか判別できないのですが。

2011/08/03

2011-08-03:セミ







































先日、お隣の梼原町は太郎川公園にて、
甥といっしょに脱藩アスレチックに勤しんでおりましたが、
そのときに、至るところでセミの抜け殻を発見しました。
すごいところでは、木製の看板に3体の抜け殻が並んでいるところも。
ま、具合がちょうどいいということなのでしょう。
それを踏まえると、うちの網戸は居心地に自信はありません。
(そもそも抜け殻を見つけたこともないですが)

ちなみに、セミは人前に出てくる成虫の時期は数日と短いですが、
地中に住んでいる時期は3〜17年と、とても長い。
成虫の時期がハナ、とは言え。

2011/08/02

2011-08-02:ブルーベリー

アントシアニンが多く含まれ、目にとてもよいということで
健康食品として使われているイメージがとにかく強くて、
ネットで検索をしてみても、通販の話ばかりが出てきました。
200種ほどの品種があるそうですが、
それらは20世紀に果樹として品種改良を重ね始めたため、
という話もあるほど、つまり、果樹として人気のあるものなんですね。
「フィンランドのブルーベリー」などとよく売り言葉で出されているので、
ブルーベリーは北欧原産なんだと思っていましたが、
実際には北アメリカ原産なんだそうです。

フィンランドのブルーベリーと言えば、
先日、小林聡美がフィンランドを
トレッキングするという番組が放送されていました。
彼女にとって「フィンランド=ムーミン」のようで、
トレッキングにしても、ムーミンを心に置いて、というような話でした。
だから、その合間には、岸田今日子のナレーションで
原作者・トーベ・ヤンソンの詩が挟まれます。
島をぐるりと歩く。
誰も来ないし、出かける必要もなく、心はいたって安らかだ。
ずいぶん前から時計は止まったきりで、
靴をはかなくなって久しい。
足裏はみずから道をさぐり、
したたかに自立して、手のように官能を知るにいたり、
砂や苔、海草や岩を歓びを持ってじかに感じとる。
「足裏はみずから道をさぐり〜」の下りが好きです。
目で見るだけでは不十分、手や足で直に触れなければ。
そういうのがとても生々しく描かれているように思えます。

ブルーベリーは遠い国の植物でした。
うちの庭にあって実をつけているなんて、知りませんでした。
早く食べられるように育ってほしい。
楽しみです。

2011/08/01

2011-08-01:カタバミ


















「すいば」「ねこあし」「すずめくさ」「すずめの袴」など、
別名は『日本方言大辞典』に登録されているだけでも
180種類以上になるそうです。
そのくらい、普段、足元にじっと目をこらすと
すぐに見つけられる、言ってみれば“当たり前”の植物なのです。

どこにでもすぐにある、というので、
うちでもあんまり大事にはされていません。
たぶん、植えたものではなく、どこかからやってきたのでしょう。
クローバーによく似たハート型の葉は、
こちらにも四葉、六葉の多葉変異体があるそうですが、
環境に耐える強靭なツクリにより、発生率は低いとのこと。
そのくらい強い植物です。

白洲正子も
俗に「すずめの袴」ともいうが、
それはハート型の葉にたっつけ袴を連想したからで、
雀にはお似合いの服装であろう。
野草にはきまって可愛らしい別名があるものだが、
必ずしも子供たちが名付親ではなく、
大人も昔はその程度の童心を持ち合わせていたに違いない。
※『草づくし』(新潮社/とんぼの本)
と記していますが、確かに、カタチとしては、
花よりもハート型の3枚ずつの葉に人気があるよう。
文様にもなりやすく、小袖などで
大胆な意匠として使われているものもあります。
長宗我部元親家など戦国大名の家紋としてもメジャークラスですね。

引用を続けると、特にこの部分が好きなのですが、
鹿児島では昔から女が鳳仙花で、爪を赤く染める風習があった。
その場合、かたばみの葉を用いると、
酸味(蓚酸という)によって、一段と美しく発色する。
私の祖母は薩摩の女だったので、子供の頃はたわむれに、
鳳仙花とかたばみで爪を染めてくれたものである。
今ははつかしい憶い出になっているが、
鳳仙花は蛇が嫌うので、女の身だしなみの一つになっていたらしい。
別名を「爪紅草」といい、室町時代に中国から渡来したと聞くが、
中国では古くから行われていたのであろう。
マニキュアが輸入された時、
「何だそんなもの、昔からやってるじゃないか」と、
祖母は小馬鹿にしていた。
※『草づくし』(新潮社/とんぼの本)
慎ましやかな日々の美しさのために
このような“当たり前の草”が古くから使われていると知ると、
少し敬意を払わなければという視線になりそうです。

ちなみに、花は春から秋にかけて。
葉っぱは、雨の日や夜になると、閉じてしまうそうです。
少し長くなってしまいましたが。