2012/04/28

2012-04-28:オキナグサ







































1ヵ月前の3月28日に掲載していた「オキナグサ」http://uchi-niwa.blogspot.jp/2012/03/2012-03-28.htmlは、本当に
「翁」になりました。
写真は、雨上がりで水分を含んでしずくが落ちています。
白い毛のようなものの下部は種子で、乾くと毛はフサフサとなり、
種子とともに、風に乗って、拡散していきます。
繁殖力旺盛で、うちの庭で増え続け、今年は石垣の
僅かな土からも芽が出てきました。
このオキナグサ、有毒植物、身体から分泌される液汁で皮膚炎、
食べると嘔吐下痢、痙攣、心停止に至ることもあるそうで、
なんだか、見た目どおりに「オドロオドロ」しい。
かと思えば、毒は薬となることが多々あり、オキナグサも
下痢などに効果がある「白頭翁」という生薬だそうだ。

ところで、先日四万十財団の取材を受けました。
ブログ「森のハナシ」http://matsubara-forest.blogspot.jp/
「うちの庭」が記者の目に付き、関心を持っていただいたのです。
25日の
清流通信「四万十川物語」http://shimanto.or.jp/wordpress/?p=1063
のネット配信日には、普段の3倍〜4倍くらいのアクセスがありました。
恐るべしですね。続ける励みになりました。感謝。


2012/04/27

2012-04-27:オダマキ

キンポゲ科 オダマキ属
見えている青紫は萼。花弁はこの内側にある。







































「オダマキ」は漢字で書くと「苧環」。
花の形が「苧環」に似ているから名前が付いたのだとのこと。
「苧環」は「苧」を円く巻いたものを言うとある。

う〜ん、分からない。ネットなどで調べても。
「苧」は「カラムシ」のことなのか? 「環」は「わ」?

「カラムシ」は、イラクサ科の多年生植物で昔から植物繊維を
穫るために栽培されてきたものだそうだ。

梼原町松原の久保谷ロードを歩いている時、ガイドの方から、
「昔はこの植物の皮を裂いて、糸を縒り、服を作っていた。」と
案内いただいたことがある。多分あれが「カラムシ」だ。
ここらへんではどこにでもある植物で、夏には1メートルから
1.5メートルほどの高さになる。
「苧」?、「カラムシ」?と思っていたのに
急に身近なものに感じられた。

「環」は「糸を巻き取る木枠」のことではないか。
今では、インテリアのお店などで、花を置く台などとしておしゃれに
活用されていたりする。梼原町民族資料館にも展示されていたような。

そう言えば、花の後部の角のような突起は糸を巻く木枠に似ている。

あ、名前の理由、やっと納得できた。

花言葉は「必ず手に入れる」「愚か」「断固として勝つ」
意外な言葉である。


2012/04/26

2012-04-25:ヤブエビネ

ラン科 エビネ属 エビネ
中国生薬名は九子連還草で血液の循環をよくし、
育毛に効果があるらしい。








エビネは漢字で書くと「海老根」、茎と根っこの接合部は
球茎と呼ばれ、いくつかの球茎が節のように連なっており、
この形が海老に似ていることから名付けられたのだそうだ。

エビネが大変なブームだったころがある。
いや、和蘭全体がもてはやされた。
ここら界隈でも、和蘭の展示会が盛んに開催され、
高値で取引されていた。
そのころは、エビネを栽培する「エビネ小屋」を、
作っていた人も結構いて、「これは珍しいエビネで・・・
・・・・どこどこで手に入れた・・。」と自慢話が
尽きないものだった。

このエビネはヤブでそういう投機対象には全くならない
種類らしいが、私はむしろこのエビネが趣があって好きだ。
もと住んでいた家地から移植したものだが、生育条件が
合うのか、年々増えている。

88歳の義父の話では、もともとうちの山に自生していたものを
ずっと前に、移植したもの。山中のエビネは、年中陽が当たらなく
なったから、「もう、消えちゅうろうね。」と。
そう言えば、前回の「クマガイソウ」についても
同じように「陽が当たらんなったら、消える。」
と言っていた。
環境省の保全状況評価ではヤブエビネは準絶滅危惧、
クマガイソウは絶滅危惧Ⅱ類だ。
義父の話から、これは、あながち、乱獲、盗掘だけが原因ではなく、
植林等により山野の植生が変化した結果だとも言えるのではないか、
と思った。

2012/04/23

2012-04-23:クマガイソウ


ラン科 アツモリソウ属 クマガイソウ
膨らんだ花弁が昔の武士が背負った母衣(ほろ)に
似ているところから、武士である「熊谷直実」に、
また同種のアツモリソウは「平敦盛」に充てた名前と言われている。









































「はっ !!」と目を引く。それほど、特徴的な植物である。
初めて目にしたのは、梼原町の四万川地区のお宅をお邪魔した時。
白壁の塀に囲まれた庭一面に、この扇形の葉が同じ高さで広がっていた。
塀の外からは想像もできない光景だった。
庭木も剪定がきちっとされ、雑草一本ない庭であったので、
ここの主人の趣味で、葉をまあるく切りそろえたのではないか
と思ったほどだ。
用件が終わり、早速この植物の名前を聞いてみた。
あいにく、ご主人は留守で奥様だったからか、名前はご存じなかった。
「嫁に来た時にはもうあった。」とのことだった。
もう20年以上前のことだ。

うちの庭のこのクマガイソウは、うちの山から移植したものだ。
初めは、3本ほどだったが、生育条件が合っているのか
今では30本くらいある。
ウィキペディアによると「絶滅危惧類」で移植も入手も
慎重であるべきだとあった。
なんだか申し訳ない気もする。

ところで、前回載せた「ユキモチソウ」について
植物に詳しい「夫」と「長女」に話したところ、
「へえ、知らんかった。おもしろいね」と関心を示してくれた。
たまには、こういうこともあるわ・・・・・ふふ 。

ちなみに、本日、晴天、「ユキモチソウ」を覗いてみると、仏炎苞の付け根の
花序付近に虫が侵入しており、這い上がるのに難儀をしていた。


2012/04/19

2012-4-19:ユキモチソウ

前々頁に載せていたユキモチソウがエキゾチックなカラーを広げ、
葉を出してきた。カラーは紫褐色に白い縦のストライプ。
乳棒の形をした真っ白と相まって、おしゃれで気高さを感じさせる。

カラーは仏炎苞(ぶつえんほう)といい、サトイモ科の特徴。
サトイモ科では、仏炎苞が、花弁の役割をして、
それぞれが特徴ある色や形に発達し虫も人も魅了する。
加えて、この仏炎苞、虫を花の中に長く滞在させ、
受粉率を高める役割もあるのだそうだ。
ユキモチソウは雌雄異株で、成長するに従って、
無性、雄性、雌性と性を転換するとのこと。

おしゃれで目立つ訳が分かりました。
雄としても、雌としても虫を惹き付けなければならないから。
しかし、うちの3本は毎年同じ場所から芽を出すだけ。
一向に増える気配がないのは、この3本が、まだまだ未熟なのか、
それとも、増殖の仕組みが現在に合っていないのかしら・・・・・。

仏炎とは不動明王像が背後に放っている炎のこと。

2012/04/12

2012-04-12:イカリソウ

5日前の激しい風の後、一気に春酣(たけなわ)。
暖かく、穏やかで、明るい日差しが眩しい。
冬の間、じっと耐えていた木々も草々も芽を吹き、
全てのものが蠢き、力をみなぎらせているように感じる。
うちの庭でも、小さな山野草が次々にあちこちで花を咲かせている。
今日はイカリソウ。写真の3色が一斉に花を開いた。
3種とも「大野が原」からきたものです。

イカリソウの名前は、4枚の花弁が反り返り
錨の形をしているところから。
葉の付き方も特徴がある。
1本の茎から3本の茎が2回出て、その先端に葉がついており、
1本の茎に合計9枚の葉が付いていることになる。

ところで、この植物、生薬名を淫羊霍という。名前の由来は、
ヒツジがこれを食べて精力絶倫になったことからとか。
生薬名も「春」を連想させますね・・・・・。

私はというと・・・・う〜ん、眠い。やたら眠い。朝、昼、晩いつも眠い。
『「春眠暁を覚えず」だから』と言ったら、「いつもやん」という
家族の冷たい反応・・・。




2012-04-11:ユキモチソウ

光を受けて金属っぽい。
得体の知れない物体のようだ。

ユキモチソウ  サトイモ科多年草 テンナンショウ属

今年も、3本、春の植物の間からすくっと立ち上がった。
「一本一万円するぞ。」と言ってもらったものだ。

2012/04/03

2012-04-03:シュンラン







































先週にはよく風が吹いて、寒波は吹き飛ばされたかに思えます。
「春一番かな」なんてちょっとうれしく思っていましたが、
「春一番」とは立春から春分までに南の高気圧から吹く風で、
吹いたあと、前日よりも気温の上がること、を条件に観測するのだそうで、
むしろ、私の頭の中の無知がひとつ吹き飛ばされたのでした。
チャン、チャン。

ちなみに、今年、関東では春一番の観測はなかったそうです。
この辺りではどうだったのでしょう。
特に興味があるわけでもないですが、
自分の感じた“あの突風”がそうだったらいいな、なんて思うのです。


さて、シュンラン。
その名のごとく、春に花を咲かせることから「春蘭」です。
うちでも、ツクシのようにひょろ、と茎をのばし、
赤い斑紋の入った口をぴらり、と垂れています。
触ると葉は鋸葉でざらり、とした感触をしています。

他の野草と色はほぼ同じ、花にも華やかな色がありません。
(種は別にして、キイロなどの色のあるものも)


別名で「ジジババ」。
頭がほっかむり、口元にヒゲ、という説もあり、
あるいは、両性の性器がくっついているように
見えるから、という説もあり。
素朴で野趣があり、文人たちによく好まれて
茶器や椀などのモチーフにもされているんだとか。

2012/04/01

2012-04-01:ヒゴスミレ


















ヒゴスミレです。
個人的な意見ですが、ともかく、白いスミレ、とはなんとなく馴染みが薄い。
半年前、秋のころにだって、咲くのをとても楽しみにしていたのに、
実際に咲いているのを見て、拍子抜けをしてしまいました。
スミレは「紫」でないと、なんとなく気分が盛り上がらなかったりして。
「スミレ」とは、「墨入れ=墨壺」に似ていることが由来かもしれないと、
牧野富太郎先生は言ったとか(Wikipedia「スミレ」による)。
“墨”とは、紫に近い色の部分を見せることもあるし、
期待するのは、アヤシイ色なのです、ゴメンナサイ。
それに、「スミレ色」はやっぱり淡く上品な紫ですもの。

そういえば、突然に思い出しました。
紫というならば、夏目漱石の『虞美人草』にて、
“ウーマンリブ”な悲劇のヒロインの登場シーンは“紫”でした。
紅を弥生に包む昼酣なるに、春を抽んずる紫の濃き一点を、天地の眠れるなかに、鮮やかに滴たらしたるがごとき女である。夢の世を夢よりも艶に眺めしむる黒髪を、乱るるなと畳める鬢の上には、玉虫貝を冴々と菫に刻んで、細き金脚にはっしと打ち込んでいる。静かなる昼の、遠き世に心を奪い去らんとするを、黒き眸のさと動けば、見る人は、あなやと我に帰る。半滴のひろがりに、一瞬の短かきを偸んで、疾風の威を作すは、春にいて春を制する深き眼である。この瞳を遡って、魔力の境を窮むるとき、桃源に骨を白うして、再び塵寰に帰るを得ず。ただの夢ではない。糢糊たる夢の大いなるうちに、燦たる一点の妖星が、死ぬるまで我を見よと、紫色の、眉近く逼るのである。女は紫色の着物を着ている。『虞美人草(夏目漱石)』
男どもの心をぐいっと掴む、まばゆい登場シーンです。
明治に描かれたこの物語で、
美しくも新しく、モダン、教養も深く、奔放な女は紫。
男たちは、彼女をいかに“所有”するかを競い、
女たちは、彼女にいかに“勝利”するかを競います。
要するに、彼女の周辺が紫に“アタる”のです。
この後、クレオパトラの描写がありますが、
やはりどこか心を不安にさせる色彩です。
そして『虞美人草』の最後では、クレオパトラ同様、
ヒロインがパッと散って終わります。
美しい女の散り際はどうにも心に残って、
「なぜ死んだか」が今も論争のテーマになるくらいです。

スミレの魅力とは、妖しく穏やかでない色なのかもしれません。
…なんて言うと、何色にも染まっていない
真っ白なヒゴスミレに失礼ですね、ゴメンナサイ。
そういえば、『虞美人草』でヒロインの対局として描写される、
“ありきたり(物語では)”で古風な女は、
白や桃色、赤など“シアワセ”を醸しているのはおもしろい。
最終的に、男たちは彼女を“所有”しきれず、女たちも“勝利”しきれず、
シアワセとして身近で得やすいところを選び、
その瞬間、ヒロインは命を失うのです。
一説には、漱石は最後まで描ききれなかったともいわれています。
「漱石最大の失敗作」と言われる小説『虞美人草』ですが、
失敗作ゆえか、意図せず正直に、まっすぐに
意識が滲んでしまったように感じられる小説です。
(ロンドン留学にてノイローゼを経験した後の小説なので)

今日は新しい季節(=年度)の始まりですが、
眺めれば、雲の流れるスピードが早く、
晴天と曇天がみるみるうちに交互します。
それで、目に映る外の色は、安定感を欠いた色合いです。
そんな日は、純粋無垢な白いスミレにしておきましょうか。

そして今日は、エイプリルフールなのですね。