2011/07/31

2011-07-31:クモノス







































クモの巣はだいたい、侵入禁止の赤外線のように、
いたるところに張り巡らされています。
姉の「祭り出の夜店みたい」とはうまく言ったもんで、
人の通る(虫の通る)ような場所を狙って、必ずあります。
それも、かなり意表をついて。
かなり迷惑極まりない。

このクモの巣は、スミレの種を撮ろうとしたときに
その後ろに見えたもの。
縦糸がしっかりと縄張りとしてのエリアを確保し、
横糸がしっかりと受け皿としての螺旋を描いています。
(同心円と言われることが多いけど、実際は螺旋状に描かれています)
さらに、中心部には、足場のように糸が何重にも重ねられています。
(隠れ帯、と言うらしい。実際、姿を隠しているとのこと)
撮っている裏側にはクモが休んでいるんですが、わかるでしょうか。
こんな形状の網を、円網というそうです。
他にも、棚網、すじ網、皿網など、
うちの庭には、いろんな形状の網が張り巡らされています。

迷惑だなぁと思う一方、
ときどき、これに水滴がついてたりして、
さらに日の光がたくさんの水滴を反射させたりして、
とても美しく目に入ってきます。
こんなふうなのを作られると、
壊してしまうのも少し気の毒な気がしてきます。

2011/07/30

2011-07-30:ホオズキ


















以前にも「すごく忙しそうです」と紹介していたホオズキ
ふとのぞいてみたら、実がようやく赤く色づいていました。

お盆なんかには、提灯の代わりとして飾る地域もあるようです。
それに、東京は浅草のほうづき市も有名なようで。
朱色という色は、たいへんに情緒があり、
哀しみも喜びもかわいらしさも、
これひとつの色で表現できてしまっているように見えます。
ホオズキのこの、袋のカタチもそう思わせるんでしょうか。

この皮をむくと、中には球形のホントの実があります。
みなさん、これで一度は遊んだことがあるでしょう。
コロコロと丸くて自然と口に含みたくなってしまいます。
私の場合は、誤って噛んでしまったことも。
(酸っぱかったような、苦かったような、味は忘れました!)
その様子をモジって「頬突き」と。

とにかく、いよいよ、人間界での活躍の日が近い感じですね!

2011/07/29

2011-07-29:レンゲショウマ

ヤクシマハギといっしょに、
牧野植物園からやってきたレンゲショウマです。
本当は、できれば成長した姿といっしょに紹介したかったのですが、
花が開くのはもう少し後のよう。
なぜ「花の姿といっしょに〜」と思ったかというと、
今のまん丸のつぼみの姿も、ヒト型を模したみたいでおもしろいけれど、
花の姿は、このシュールな印象とは全然違って、
とても美しい姿なんだそうで。

基本的に、
ペンダント・ライトを吊るしたようなカタチ、
ほんのり紫がかった透明感のある白花、なんだそうです。
それこそ「レンゲショウマ」で検索してみると、
写真がたくさん検索に引っかかって見ることができましたが、
やはり、実物を見てみたい、とワクワクしています。
ん〜、もうちょい待とかな、どうしよかな、と、
実は少し悩んだところでした。

「レンゲショウマ」とは、キンポウゲ科のレンゲショウマ属。
1属1種の植物です。
名の由来は、葉がショウマのようで、
花のカタチがハスに似ていることから、とのこと。
名前こそ「キレンゲショウマ」ととてもよく似ていますが、
(黄色のレンゲショウマかな、と思ってしまいますね!)
キレンゲショウマはユキノシタ科キレンゲショウマ属と
これまた全く異なっていることもおもしろいですね。

また、花が咲いたら詳しく調べて報告します。

2011/07/28

2011-07-28:オトギリソウ


















うちの庭…というか、地元には、たくさんの虫も住んでいます。
夏になると、やはり…増えてくる。
先日、牧野植物園のイベント「夜の植物園」に行ってきましたが、
夏の植物(特に夜に花開く植物とのことですが)は
香りもけっこうなもん。
さらに、ハエの舌の長さを意識したカタチの植物があるなど
虫がここに来てくれる、と期待をしているものが多いそうです。
だから夜に目に映りやすい白などの明るい色をしているものが多いそう。
春から夏は生き物がザワザワとする季節。
蚊やハチ、ムカデなど、私たちにとっては歓迎しにくい者もいますが、
それはそれ、としてみましょう。

さて、これも夏の花、オトギリソウです。
ハチが蜜を吸いにやってきています。
私たちには香りのわからないものもありますが、
ハチたちにはその香りがわかるようで。
一体、どんなふうに誘われるんでしょうかね、オトギリソウの場合。

名の由来・花言葉が物騒ですが、それも、この薬効の証でもあります。
※平安時代、鷹匠をしていた兄(晴頼)が、鷹を治療する薬として使っていた植物。
秘伝としていたのに、弟がその名を漏らしてしまったため、怒って弟を切ってしまった。
葉や花の裏には黒い斑点がついていますが、それは弟の血が散ったから、というような由来があります。
花言葉もなんと、「怨み」「秘密」と。けっこうオドロオドロしいんです。
薬としては、切り傷やリウマチなどに効くそうです。
その一方で、使用法によっては、皮膚炎を引き起こすようで。
(黒い斑点のところ=弟の血と言われる部分を使うと引き起こすよう)
善も悪も両面ある感じで、なかなか…。
かつてはエイズの治療薬として期待され、研究されたこともあるそう。
結局は皮膚炎を引き起こすという副作用が確認されたのみで
エイズの治療薬とはなりえませんでしたが、
とにかく、そのくらい効果のある薬草として期待されているわけです。

2011/07/27

2011-07-27:ヒマワリ




激しかった台風6号も無事に越し、キイロの花がパッと開きました。
つい昨日まではツボミだったのが、パァッと開いたのです。
笑ったような顔をしているので、
ついついこちらもつられて微笑まずにいられません。
ヒマワリだと、高さといい、花の向きといい、
他の花と比べても、なおのことうれしげに見えるのです。
種が植わったのも、生長したのも偶然にしか過ぎない花が、
健気に想いを結実させたんだという事実も、
より一層、かわいげを際立たせるように思います。

だから、台風前にも紹介したのですが、
再度載せてみることにしました。

どこかカラリと、もしくはあっけらかんとしても見えるヒマワリ。
今は太陽に合わせて向きを変えているんでしょうか。
(観察が足りていませんね…)
今年もホントに夏の盛りに突入したんですね。




再度…と言えば、もうひとつ
続報を記しておきたいものがあって、
リンゴの実が赤く色を付け始めました。
こちらもなんだかうれしい話です。

2011/07/25

2011-07-25:ヤクシマハギ


















ヤクシマハギ、この土曜日に植物園からやってきた新参者です。
小さく、扁平の楕円の葉がとてもかわいいのです。
ミッドセンチュリーとかモダンなカタチ、
淡いキミドリなのが、やりすぎていない感じでちょうどいい。
繊細だけど自由奔放な姿も魅力的です。
秋に向けて、ピンクの花を咲かせます。
もうツボミがぽつぽつとついているみたい。
マメ科のハギ属です。

ハギの中でも、ヤクシマハギは少し小振りなんでしょうか。
とにかく、ハギ自体が世界的に(学術的に)認知されるようになったのは
かなり最近のことのようで、分類や研究も進んでいないんだそうです。
ハギは、日本では万葉集の時代からずっと親しまれてきました。
秋の七草のひとつでもありますね。

また、花が咲いたらお知らせします。

2011/07/24

2011-07-24:シャジン







































家の石段から道路に向かってピョンと飛び出して伸びています。
枝にはいくつもの小さなつぼみ。
なんとなく微笑ましく思って見守っていたら、
中から長い雌しべを伸ばして釣り鐘の花が咲きました。

シャジンと言います。
おそらく、シャジンの中でも、
オトメシャジンなんじゃないかな。
キキョウ科のツリガネニンジン属で、
ツリガネニンジンともよく似ています。

うちにあるのは、ツリガネニンジンと思って植えたのか、
それとも自生なのか、どちらでしょうか。(忘れてしまいました)

オトメシャジンとは、
一応、愛媛県の東部にある東明石山周辺の固有種なんだそうです。
その東明石山周辺には、希少な植物がたくさんあるそうで、
「花の山」と言われているほどなんだとか。
その中でも、絶滅危惧種に名を連ねる花のよう。
…というと、自然にできたものなのに、
うちの庭での注目度が上がりそうですね!



雨露に濡れた姿もかわいらしい。
花びらが少し透けて、
向こうがうっすら見えるのも幻想的。

2011/07/23

2011-07-23:キキョウ


















昨日、庭を散策していたときにはまだ上の写真の状態で、
花びら同士がぴたりとくっつき、
風船みたいにぷくっとふくれていました。
英語名では「balloon flower」と言うそうですが、
海も国も超えて、この姿には心をぐぐっとつかまれるようです。
咲かずにこのままでいてほしいような、
早く咲いた姿も見たいような、そんな気分です。

いよいよ咲くとなると、その瞬間ももちろん見逃せません。

「桔梗の花 咲く時ポンと 言ひそうな(加賀千代女)」
花は美しく、しっとりとした浴衣を纏ったような姿が印象的です。
キキョウ科の多年草です。
キキョウの雄しべと雌しべとは成熟期が異なるそうで、
雄しべから花粉が出ていても、雌しべの柱頭が閉じたままの雄花期、
花粉が活動をやめて柱頭が開き、
他の花の花粉を待ち受ける雌花期とがあり、
自家受粉を避けています。
花粉の媒介者は虫ですね。
で、咲いたばかりの今は、まだ雄が熟した状態でしょう。

ちなみに、平安時代の辞書には(『和名抄』か?)
「阿利乃比布岐(ありのひふき)」と紹介されているそうです。
つまり「蟻の火吹き」。
蟻が桔梗の花びらを噛むと、蟻の口から出た蟻酸(ぎさん)と
桔梗の色素アントシアンが反応して
紫の花が赤く変色する様子を言っているらしい。
蟻が火を吹いているように見えるから、とのことです。

花言葉は「気品」「清楚」。
強くひとりで立ち(そういえば、先日の台風にも負けませんでしたね)、
凛とした面持ちで前を向いています。
この花のカタチを象って桔梗紋ができたり、
江戸城にはききょうの間や桔梗門と「桔梗」の名のつくところもと、
武士に好まれる花でもありました。
京都は一條戻橋の晴明神社の神紋でもあります。
そういわれると、どことなく、
“覚悟”を決めた刹那な姿勢に見えなくもない。

秋の七草としても知られる桔梗ですが、
今はもう絶滅危惧種に数えられます。
“覚悟”を解いて、しなやかに生き続けてほしいものです。

2011/07/22

2011-07-22:ネジバナ

念願の、ネジバナです。
何度か育てようと試みたそうですが、やっと咲きました。
うちの庭で発見された2本目のネジバナです。
近所の公園や道ばたにはたくさん咲いていて、
見つけるたびに、甥は「ネジバナ〜へへ」と言って喜びます。
ねじれて咲くからネジバナ。
名前も明快です。
もしかしたら、植えたから咲いたんじゃなく、
どこかから移ってきたのかもしれませんね。

螺旋階段のようにねじれているのは、
茎が傾かないようにするためという説が
有力なんだそうです。
小さな花をたくさん、
細長い茎に密着させるようにつけるので、
一方向につくと、たしかに傾くでしょう。
(よく見ると、花はもう終わりかけですね…!)
たくさんの花がつくのは、
受粉の機会を増やすためでしょうか。
ハナバチなどが花粉を運んで
他花受粉するそうです。
(運んでもらえなかったら、自家受粉も)

ラン科では珍しく、
人間の生活圏で普通に見られます。
都会でもそこ・ここにあるでしょう。




古今集にて編まれている河原左大臣の歌も有名ですね。
みちのくの しのぶもじずり 誰ゆえに
乱れむと思う 我ならなくに
(河原左大臣 古今集)
ここで出てくる「もじずり」とは、ネジバナの別名です。
子どものときには、この「しのぶもじずり」というところが
何のことやらさっぱりわかりませんでしたが、
草地にそっとしのんでいるネジバナだと思うと合点です。

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追記
昨日の「フジバカマ」ですが、
「フジバカマ」でなく「シモツケ」でした。
フジバカマの記事はそのままに、
再度「シモツケ」として記事を掲載します。

2011/07/21

2011-07-21:シモツケ


















シモツケとは「下野」と表記します。
かつての下野国(現在の栃木県+群馬県桐生市の一部)で
初めて発見されたことから、そう呼ばれるそうです。
富士山にも咲くよう。
寒さに強く、日当りも好む、と。
かなり強く生きていられるわけですね。


小さな五弁の花が
たくさん集まって
半球状になるそうです。
秋には紅葉します。





花言葉は「自由、気まま」または、「ひそやかな恋」と。
うちの庭では、鬱蒼と繁った木々の下にそっと咲いていました。
本当は、ネジバナを探していたのですが、
木々の間からこぼれる光と、
この、桃色と言うべきか藤色と言うべきかの花の色がキレイだったので。

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追記
「フジバカマじゃないよ〜」という指摘をもらったので再投稿。
せっかくなので、「フジバカマ」バージョンも残しておきます。

2011-07-21:フジバカマ(?)


















淡紅紫の小さな花。
秋の七草に数えられますから、
本来は秋にはもっと密生して咲くのだと思うのです。
ようやく台風の残り風も終わった爽やかな日に、
この日を逃すまいと咲いたような心持ちなのでしょうか。
…と、フジバカマと思って書いていますが、
実際のフジバカマは茎が紫色なので、
違っているかもしれません。(誰か教えてください!)

フジバカマならば、
奈良・平安の時代に中国より帰化した植物だそうです。
平安時代に編纂された日本最初の百科事典『和名抄』には、
蘭の名に対して、本草和名では布知波加万(フジバカマ)と言う。
新選万葉集では別に藤袴の二字を用いている。
というようなことが記されているようです。
花弁が袴のようで、色も藤色ということからの名前です。
平安時代には、この茎や葉っぱを干して、水につけて髪を洗ったんだとか。
だから、
藤袴 きて脱ぎかけし 主や誰
問へどこたへず 野辺の秋風(源実朝 金槐和歌集)
とも詠まれているし、そういえば『源氏物語』にも登場しますね。

咲いているのは、木々の陰にて鬱蒼と繁ったところ。
本当は、今日はネジバナを探していたのですが、
木々の隙間からこぼれる光と藤色がキレイだったので。

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追記1

先日紹介したフシグロセンノウ
こないだの写真の脇に
見えていたツボミが
キレイに咲きました。





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業務連絡
タイトルの写真を変えました。
台風6号襲来のとき、2階から庭の小道を撮ったものです。

2011/07/20

2011-07-20:フシグロセンノウ


















昨日、大きな台風が、通り過ぎていきました。
「扇風機で雨を飛ばしてるみたいやね」と甥の言うように、
激しく激しく、雨は降り続けました。
玄関前の水槽では、長さ3〜5mmほどの
産まれたばかりの子メダカがすくすくと育っていたのですが、
どうやらこの台風にやられてしまったようで、
昨日の昼すぎから姿が見えません。
うちの目の前の川は、流れに対するカーブの急さと
高低差の大きさから、激しい流れになっていました。
ここ数年、台風は高知からそれるばかり。
うれしいような寂しいような複雑な心境でしたが、
直撃すると、やはりたいへんでした。
庭の木々は、補強のおかげもあって、元気なのですが。

そんな中、フシグロセンノウの花が咲いていました。
花期は7〜10月とあり、「フシグロセンノウが咲くと虫の声が聞こえる」
なんてことも言われるので、少し早めの開花と言っていいでしょう。
(この場合の“虫”は、秋の虫と言いたいところ。すでに鈴虫も鳴いているけど)
激しい雨と風にやられ、息絶え絶えといった様子。
本当は5弁花なのですが、4枚しか確認できません。
しかも、その4枚も一生懸命に食らいついている。
よくがんばった、これからもがんばって!、ですね。

フシグロセンノウは、山地の樹陰に生育します。
この色の花はなかなかなく、ヒトの目にもパッと目立って映ります。

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another side


台風一過の後、
ほっとしたのか
新たな餌場を求めてか、
(餌が流された??)
小動物の徘徊が目立ちます。
カミキリムシも
たまらず(?)子づくりです。






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昨日の台風は本当にすごかった。
R197』には、早速、
昨日のこの周辺の様子が。
いや、本当にすごかった。

2011/07/19

2011-07-19:ヒマワリ

























いよいよ台風。
木々の補強をして備えたのは昨日の記事の通り。
なんと、ヒマワリにも補強を加えていたのであります。

このヒマワリ、知らず知らずのうちに、大きくなっていました。
うちの庭にはヤガラなどの野鳥もたくさんやってきますが、
その餌にしてやろうともらってきたヒマワリの種が、
自然に根付いていたようです。
ただ、そのヒマワリの種をもらった相手の家では、
すでに大量のヒマワリがもう花を咲かせているよう。

ヒマワリの花は、十分に生長しきってしまうまで、
朝は東向き、夕方は西向き、というふうに、
太陽の向きを追わえていくものです。
キク科で、大きな花に見えるのは、
いくつもの咲く花(舌状花)と
咲かない花(筒状花)を集合させたものだそうです。
だから花言葉は「私の目はあなただけを見つめる」という一途なもの。
原産地はアメリカ、16世紀ごろにイギリスに伝わり、
「太陽の花」と呼ばれはじめました。
向日葵の ゆさりともせぬ 重たさよ (北原白秋)
うちの庭ではようやくツボミをつけたくらいで、
花が咲くのはこの台風を乗り越えて、
しばらくして、という感じでしょうか。
意図せず育ったものですが、1本で健気に太陽を目指します。
その姿に、「補強したらなかわいそうやん」となったのでした。

2011/07/18

2011-07-18:ツワブキ


















今度の台風は、とても大型らしい。
明日接近、あさってに上陸の予定なのに、
すでにゴォゴォと雨が降っています。
木々も根こそぎやられるかもしれん、というので、
うちの庭でも厳重な警戒がしかれています。
木々の足元も、しっかりと補強していました。

そこには、うまく“傘”になりそうな大きな丸い葉がたくさん。
お、これは、おとぎ話とかでカエルが使ってるヤツじゃないの、
とウキウキしながら見ていたのですが、
私が思っていた“カエルの傘”とはどうも違うらしいと
たった今知って、少しガッカリしたところです。
“カエルの傘”は、ハスだったって知っていましたか、みなさん。
艶もあって柄も長いツワブキの葉は、
ハスと似ていなくもないやんかー、とも思ったり。

ツワブキはうちの庭の木の下に何カ所にもわたって生えており、
たぶん、目立ちすぎて、誰もあんまり気に止めません。
雨が降れば、まずは自分の上方にある木々の枝が雨を受け、
少し衝撃の和らいだ雨粒がやさしくフキの葉を叩きます。
日差しの強い日もそうでしょう。
小さな動物たちにとっていい休み場になっていそうで、
ほんわりと笑ってしまいます。

でも、こんな激しい雨ならば、横殴りの雨に叩かれます。
台風6号が通り過ぎてしまうまでは、
やむなく臨時休業、というとこでしょう。

2011/07/17

2011-07-17:フイリフモトスミレ(改)


















カエデの木の下で、斑のある濃い緑のハート型、
調べてみると、どうやらヒメミヤマスミレのようです。
地にへばりつくようにして、葉をよく伸ばしています。

スミレ科には16属850種、
スミレ属はパンジー、ビオラなども含めて400種。
スミレとは、その花の距を、
昔の大工道具の「墨入れ」に模した名とのことです。

道ばたや野原など、本当に様々なところで
草本として生きています。
どちらかと言うと地を這っているような感じで、
背の低い植物なため、
光合成の競争なんかに負けてしまいそうですが、そうでもない。
きちっと手を入れ、
他の草花を処理したような場所に多く見られるので、
どうも人間との関わりはかなり深いのでしょう。
スミレは苔のはえた石の下で
半ば人目にかくれて咲いている。
空にひとつ光っている星のように美しい。
(ワーズワース)
花は、もうとっくの昔に終わってしまっています。
子どものころは、その花のかわいさにキュンとなったものですが、
どうやら今は、この葉の姿に惹かれるようです。

--

追記

コメントで教えてもらったのによると、
どうやらフイリフモトスミレのよう。
スミレってたくさんあって難しいですね!
(タイトルも変更してみました)

2011/07/16

2011-07-16:ツルハナガタ


















ツルハナガタ、夜の姿です。
花は、早々と4月に終わってしまいました。
でも、丸っこく並んだ葉がとてもかわいいのです。
どうやら、この葉、球体のどこに生えるかで、
カタチが少しずつ違っているようです。


こういう並びを
散形花序と言うそうです。
長くて白い軟毛が。
これがまた、
かわいくて仕方ないのです。




白い毛というのは、どういう理由で生えるものなんでしょうか。
前に紹介したヤマハハコも、白い産毛のようなものが
より植物のシックな感じを演出していたように思います。
水をはじいたり、温度を保ったり、
一体どんな理由があるんでしょうか。

これも、長野県の育草園からやってきました。
高山系の植物で、育てるには、
夏をいかに涼しく過ごせるか、がポイントなんだそう。
“南国高知”と言えど、
やはりうちの周辺は植物にとって十分に涼しいんですね。
(それでも、人間たちは、「暑い〜」とノビていますが)
原産はヒマラヤ。

来年になってしまいますが、
春には、サクラソウのような小さな花を咲かせます。
花言葉は「少女の瞬き」だそうで。

2011/07/15

2011-07-15:ボケ


















数日、よく晴れた日が続くそうです。
母は漬けている梅をやっと干せると言って喜んでいます。
(実際は、うちで採れた梅の実は2個。こちら参照。
あとは買ったりもらったり拾ったりしました!)

「実」つながりですが、ボケの実も大きく育っています。
「木瓜」という名は、この実が元となっている、という説が。
瓜のカタチに似ていて、それが木にできるから、ということ。
「木瓜=もっか」と呼ばれていたものが、転訛して「ボケ」になったとか。
もうひとつ、寒ボケや秋に咲くボケなど、
「咲く時期、間違ってんちゃうの?」というような
花があるからという説もありますが、
どうやら実のカタチからきた説が有力のようです。
なんとなく、汚名返上できたような趣があって、
よかったね、と肩をポンポンたたいてあげたい気分です。

実は、ジャムや果実酒にするといいそう。
疲労回復など効能もあるらしい。
しばらくすると黄色く熟します。
そのころ、また、母にがんばってもらいましょう。

ずっとあるから日本原産の植物だと思っていたら、
どうやら平安時代に中国から渡ってきた帰化植物だったよう。
学名は「Chaenomeles speciosa」。
「chaino=開ける」+「melon=リンゴ」と、
「speciosa=美しい、華やか」。
花言葉は「先駆者」「指導者」「妖精の輝き」「平凡」。
様々な印象を与える花なのですね。
次の春(遠い)も楽しみ。

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国道197号線沿いの街を紹介する
ブログ『R197』。
いよいよどろんこ祭りの佳境。
大蛮の腹の色っぽいこと!

2011/07/14

2011-07-14:フウロソウ


















「夏の朝に、朝霧が露になり、花について風に揺れる様子」
というのが、「風露(ふうろ)」の意味なんだそうです。
なんて風流で可憐な名前なんでしょう。
今朝、つぼみが名前通りに朝露に揺れていました。
もう今にも咲きそうなつぼみです。

名前が美しいので、題では「フウロソウ」としたものの、
実際には、フウロソウ属フウロソウ科で、
植物の名前としては「フウロ」と末尾につくものがあるのみ。
いくつか種類があり、どれもとても似ているので、
これが何なのかはさっぱりわかりません。
これかな、と辛うじて思えるのは、
「ゲンノショウコ」「シコクフウロ(イヨフウロ)」
「タチフウロ」「ミツバフウロ」…といった感じ。

母の祖母は、お腹をこわしたりすると
よくフウロソウを噛んでいたそうです。
実際、胃腸を整える効能があるようで、
そういえば「ゲンノショウコ」の名の由来は
「(胃腸に)現に(効く)証拠」とのこと。
平安時代には、牛の病気を治す薬草「牛扁」として
日本最古の百科事典といわれる
『和名抄(わみょうしょう)』に記されているそう。
江戸時代には博物学者の貝原益軒の『大和本草』に
陰干しにして粉末にし湯にて服す。能く痢を治す。
赤痢にも可也。また煎じても或は細末にし丸薬としても皆効果がある。
と記され、現在でも、たとえば長野県のある産婦人科では、
冷え性と婦人病解消用の入浴剤として使われているらしい。
(参考:やなぎ堂薬局ホームページより
名前は、「フウロソウ」とは、由来の趣があまりに違いすぎて
ちょっとスカされたようで笑ってしまうところですが。


今、もう一度見に行ってみると、
まさに咲いたところでした!
(びっくり。こちらは私が撮影)






薬効があるのもとてもありがたいことですが、
この、左右対称の花の、
手をまっすぐに一生懸命に伸ばしたような
慎ましい姿もいいものです。
寄って見てみると、色の取り合わせの良さにも感心します。
げんのしょうこの おのれひそかな 花と咲く (種田山頭火)
夕明り げんのしょうこを次々に
人たづさへて 現るる坂 (与謝野晶子)
うちかゞみ げんのしようこの 花を見る (高浜虚子)
頭の中に映る静かな景色が
夏へと走り出したい気持ちをすぅっと鎮めるようです。

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国道197号線沿いの各地を
紹介するブログ『R197』。
いよいよ泥んこ祭りの真髄です。

2011/07/13

2011-07-13:ダイモンジソウ



















昨日に引き続き、花の時期とは違う植物です。
花は秋ごろ咲くらしい。
花の咲き方が「大」の字に似ているからダイモンジソウと言います。
私は、バイカオウレンと同様にこれもまた、見たことがありません。
つまり、これは“普段・日常”のダイモンジソウの姿。
「もっとキレイなときに撮ってよ」と本人も思うかもしれませんが…。

でも、この葉が特徴的でとても好きなのです。
この不規則気味に切れ目の入った丸っこい形も、
かなり微妙だけど厚みがあるというのも、
裏返してみると緑白色か暗紫色を帯びているのもおもしろい。
それがプニュプニュプニュ…(という感じに見える)と、
いっぱいが固まって生えているのも鈍な感じですね。
これは一昨日、雨の最中に撮ってみた写真ですが(さとみ撮影)、
水を毛で受けているからか、しっかりとはじかないとこともかわいい。

ダイモンジソウの妙な葉を
「なんでこんな形になってしもうたんや」とじぃっと見ていると、
ふと「生き物と生き物の境界線はどうやってできているのだ」
などと疑問が浮かんできます。
その境界線が私たちの目に見えて“そういう”カタチに映るのだし、
“そういうカタチ”に見えるように、
または、“そういう”カタチで生物としての機能を果たすのも、
全て必然性・必要性から生じているということに感動してしまうのです。

ごくごく当たり前に先祖から受け継いだものだし、
今さら取り立てて感じ入る必要もないのでしょうが。

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ブログ『R197』では、
愛媛県西予市のどろんこ祭りを
絶賛公開中です。
今日は境内の出店巡り。
「ねぇ、これ買って?」
と無言&目線でねだる子、
むー、鼻水〜〜!

2011/07/12

2011-07-12:バイカオウレン



















木々の木陰、少し湿度の高そうな地面に生きる、常緑の葉。
オウレンと同じキンポウゲ科の、葉が五枚あります。

学名「Coptis quinquefolia」をつけた牧野博士は、
この群生地である高知県佐川町の出身。
(kopto=切り離す。葉が深く切れ込む姿に因む)
博士も冬の寒さに負けないで、健気に前向きに、
いち早く春を告げるように咲く姿を愛しく思ったそう。
通称名で「春告げ花」とも言われるように、
花は早い春(まだ寒い1月の終わり〜2月)に咲いてしまうので、
私はタイミングが悪く、これまで見たことがありません。
でも、私の場合、葉で十分に心をつかまれました。
5つの手を広げて、健気に生きているように見えるのです。

前のオウレンの記事では、
「梅の花のように5つの葉をつけています」としましたが、
どうやらそれは私の思い違い。
「梅花黄連」の“梅の花”部分に模したのは、
葉ではなく花だったようです。

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国道197号線沿いを
紹介するブログ『R197』。
今日は子どもたちの踊り。
田んぼに慣れない現代っこたちが
不揃いに踊りを進めていく様子も
またをかし、といったとこです。

2011/07/11

2011-07-11:サイハイラン


















花はとても小さく、タテにほんの7mmほどしかありません。
この下に向いたカタチが、
かつて武田信玄なんかも使っていた「采配」に似ていることから、
「采配蘭」と名付けられたそうです。
山地の樹陰に生育します。
このサイハイランは、長野県の育草園にて入手したようです。

調べてみてわかったことですが、
光合成のみで自活することができないらしく、
採集・移植直後は蓄積された養分で生きるようですが、
多くの場合は数年でそれも尽き、衰弱枯死するとのこと。
土中の共生菌からの養分提供に強く依存する
混生栄養性の植物なんじゃないかというのも推測の域。
未だ栽培技術も移植技術も確立されていない、ということはつまり、
自生でしか生きられないということです。
すでに多くの地域で絶滅危惧種に登録されているというのに。

小さな星形の花を、首をもたげて咲かせるサイハイラン、
名の由来とは違い、線が細く、たいへんに繊細な花なのです。
調べていると少し寂しい気持ちになってきました。
うちでは今2年目。長く生きてくれればいいのだけれど。



10日ほど前には、
こんなにたくさんの花をつけていました。
今日撮影してもらったものは、
遅れて咲いたかわいい子たち。
よく見てみると、

蜜をあさっているアリの姿も。
そのアリの大きさが
1.5〜2mm程度と言えば、
この花の大きさが
なんとなくわかるんじゃないでしょうか。
そのくらい、小さな小さな花です。






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国道197号線沿いを撮り続ける
ブログ『R197』。
祭りの笑顔は
不思議とこちらの笑顔を誘います。

2011/07/10

2011-07-10:ヤマユリ


















花の直径はおよそ10〜15cm。
圧倒されるような大きな顔です。
花びらのフチのフリルや、
花粉が飛び散ったような斑点も華やかすぎるくらいに華やかです。
花が咲く前から、この茎や葉の大きなことに驚いていましたが、
花が咲くとやはり大きくて、また驚きました。
家の横を通る道を歩きながらも、この花の主張がのぞきます。
遠くからでも、その存在に目がとられます。

存在の華やかさ・豪華さから「ユリの王様」と呼ばれています。
1873年のウィーン万博で日本の他のユリとともに紹介され、
以来、大正時代まで、ヤマユリの球根は
ヨーロッパへの主要な輸出品とされていたそうです。
花言葉は「威厳」「甘美」。
1年に1つずつ花を増やすとも言われています。
香りもなんと強いことか。
この香りの強さは、日本で自生する植物の中では例外的なものだそう。

この押出しの強さは嫌いではありません。
山の中、地味な木々の間にまぎれて、この花がパッと見えたら、
何か素晴らしいものに出会えたような気分で、
感動で胸がいっぱいになるんじゃないでしょうか。
このヤマユリは、山仕事をこよなく愛するじいちゃんが、
うちの山から取ってきたとっておきの花なんだそうです。

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国道197号線ブログ『R197』。
今日は愛媛県西予市のどろんこ祭りを紹介。
祭りに参加していた人たちの笑顔につられて
思わず笑ってしまいます。

2011/07/09

2011-07-09:ホウチャクソウ


















おっとっと、と立ち止まってしまいました。
この先端の丸いものはなんだろう。
何か電波でも発信して、誰かと交信をしているみたいです。
交信の相手は、向こうの山の兄弟でしょうか、
それとも、日本のどこかの親戚でしょうか。
はたまた、地球の裏側の遠い親だったり、
あるいは、地球を飛び出し、どこかの星にいる未来の友人だったりして。
生き物が存在して巡り巡るサイクルができていること自体、
どう考えても不思議な縁と巡り合わせの連続でしかなかったんですから、
もしかしたら、私たちが知らないだけで、
実(じつ)はそんなふうに世界はできているかもしれません。

この実(ミ)に関して言うと、
「花の跡の液果(『牧野日本植物図鑑』より)」だそうです。
この後さらに、黒く熟すんだそう。
名前の由来は、花が寺院の屋根なんかの
四隅に吊り下げられた宝鐸を彷彿とさせるカタチをしているから、らしい。
花は白と緑の透明感ある2つの花、これが枝の端に垂れて咲くのも美しい。
写真は、注目すべき花の時期と、
しっかりと黒く熟した時期との間の時期です。
このくらいの普段の時期のカタチも、
不可思議な生態が見えておもしろいのです。

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国道197号線の文化を
紹介すしているブログ『R197』。
今日は、愛媛県西予市の
どろんこ祭り第一弾。
田んぼでの牛の代掻き風景、
圧巻です。

2011/07/08

2011-07-08:ノギラン

ルーペなどで拡大して見てみると、
この先端は、赤く染まったテトラポットみたい。
いや、テトラポットというよりも
球体から規則的に突起が出ているような、
あ、こういうカタチ、何と言っていたでしょうか。
もどかしい。
このひとつずつの突起が名前の由来だそうです。









花のほうも拡大して見てください。
(へんなトリミングですいません!)
淡い赤褐色を帯びたクリーム色の花が
いくつもいくつも
ついているのがわかるでしょう。
なんというか、
いくつもの布(きれ)を
羽に見立てて下半身にまとった
スマートなのにスイートでゴージャスな
カクテルドレスみたいです。


葉は放射状に並んで地中から直接這い出す根出葉。
ロゼット葉ともいうらしく、こういう葉を持つ植物は
背が高くなれないそうです。
ノギランも10cm程度の高さ。
つまり、他の植物と背伸び競争をすれば簡単に負けてしまう。
生育地は「湿原などに多い」と記されていることが多いですが、
これも、湿原の形成環境が生育しにくい環境だということを
意味しているようです。

他の人のやらないことを、誰もいないところで。
華やかに見える着飾ったオシャレ花も、
なかなか苦労を重ねているようです。
誰も行きたがらない場所で、
それでも美しく立っている姿は凛として見えます。

2011/07/07

2011-07-07:ヤブマメ

























くるりと先を丸めた花は、
シフォン生地のようにやわらかでロマンチック。
葉は互生で毛があります。
これは、ヤブマメだろうということでした。
蔓が他の植物に絡み付き、支えられながら伸びています。

ヤブマメも、キキョウソウのように開放花と閉鎖花を持っています。
閉鎖花は地中にあり、自家受粉をします。
休眠することなく発芽成長し、親の生育地を受け継ぎます。
閉鎖花は決して派手ではないけれど、子孫を確実に残すための戦略。
発芽率はなんと、80%にもなるそうで。
ちなみに、閉鎖花からできた地下の豆は、美味しいものらしい。
華々しく生を遂げる開放花は、
親とは違う場所での子孫繁栄を目指しますが、
発芽率はわずかに2.5%なんだそうです。
光を受ける加減によって、花の程度は調整されています。
…なにか、どこか身近で聞いたような話ですね。

今日は七夕。
儚く美しい恋愛物語も、生命の話として捉えるならば、
織り姫と彦星は開放花のように思えます。
織り姫にとっては地球、彦星にとっては地球ではないどこか。
言葉や文化を超え、遠く離れた地を目指したくなるのは、
そういうことも関係しているのかもしれません。

2011/07/06

2011-07-06:キツネノハナガサ



気象庁からの梅雨明けは、高知は7月の半ばになるそうで、
昨日のカラッとした青空とは一転、
今日は冷たい雨がやさしく降っています。
気温がこんなにもコロコロ変わっては、着る服だって迷います。
さっき、半袖から長袖に着替えました。
植物も時期を迷うだろうなという気がします。

芝生の中に、ひとつ、傘を見つけてしまいました。
茶房の入口のような佇まい。
でも「キツネノハナガサ」という名にあっては、
むしろバス停のように使われてもらいたいような、
そんなのどかな山の雰囲気が漂っています。
傘は薄く、ほとんどビニル傘のような脆弱な感じですが、
それでも今日のやさしい雨を待つには、ちょうどいいでしょう。
昨日見つけたサワガニも、ダンゴムシやアリたちも、
せっかくの雨の日はせかせかと働かず、
傘の下でほっこりとお茶でもどうでしょう!





高さは30mmもあるでしょうか。
傘の直径は10〜12mmといったところ。
幼菌時期は全体的に黄色ですが、
大人になった今は白い色を帯びています。
透明な質感、細い柄がとても美しい。
後には、傘は平に開き、
風を正面から受けたようなカタチに。


こうして写真でならば、
「あ、キノコ」と判りますが、
実際にはとてもとても小さくて、
探そうとすればするほど
するりと見逃してしまいます。

2011/07/05

2011-07-05:ヤマハハコ(ヤマホウコ)


















天狗高原(四国カルスト)を
愛媛県に向けて超えると街がまた見えてきます。
大野ケ原という街です。
同じ四国カルストでも、気温や湿度、天候の関係か、
高知県側と愛媛県側とでは生きている木も、
または木々の生息の仕方も違い、
『アルプスの少女』とか『大草原の小さな家』とか、
あーゆー感じを彷彿とさせる牧場の風景、といったところ。
4〜5年前、そこで小学生くらいの女の子が
「私が育てたの」と植物を売っていたそうです。
どうにも買わなければいけない気になって購入したヤマハハコ。
紆余曲折を経て、やっと大きくなりました。

ハハコグサと似ていて、山に生息していることから、名前は「ヤマハハコ」。
さらに、ヤマハハコより葉の幅が細いものが「ホソバノヤマハハコ」。
ちなみに「ハハコグサ」とは、子を背負った母の姿を象った名。
なので、漢字で書くと「細葉の山母子」となります。
うちのは、もしかしたら、ホソバノヤマハハコかもしれません。
ヤマハハコは東日本〜北日本に生息し、
ホソバノヤマハハコは西日本を中心としているそうです。
※名前で言うなら、牧野博士によると
ヤマハハコの名「ヤマホウコ」というのが正しいらしく、
「子を背負った母の姿を〜」というのはこじつけた由来との話もあります。

白と、黒に近い、深い緑の葉・茎のおかげで、
もう夏になろうというのに、
葉や茎にある綿毛のおかげで、水滴が雪か氷のようにも。
夏は、特に“南国高知”であれば、
もっと色とりどりの南国の花を期待するところで、
ならば、無条件に華やかだったりショッキングな印象となるのですが、
これはそのイメージとは全然違う。
目に見えているこの白い花のようなものは、葉が進化した萼。
(ハハコグサだと、ここが黄色になるのです)
すっくと姿勢を正した植物には、近寄りがたい思慮深さが見え隠れし、
むしろ、そのシリアスな表情にドキリとなります。
その期待を裏切る感じはまた、大きな魅力なのです。

8月ごろになれば、この先に黄色い頭花をつけます。
そして、雌花だけが結実します。

2011/07/04

2011-07-04:ジャノヒゲ



















ジャノヒゲといえば、青紫の種子(実ではないらしい)。
玉のような…ちょうどビービー弾みたいなもんで、
小さいころは、竹の鉄砲の玉にして遊んでいました。
「ポンッ」という乾いた音が小気味よく、
何度も何度も竹に詰めては撃っていたように思います。
(竹は誰が調達して、鉄砲へと作り替えてくれていたんでしょう?)
玉のことを、何か別の名前で呼んでいたような気がするのですが、
ちょっと思い出せません。
草むらや人の家の花壇に忍び込み、
いっしょうけんめいに青紫の玉を探したもんです。
草をかきわけ・かきわけして、両手にいっぱいになるまで探しました。

その玉のあった緑の群落と、このかわいらしい花とが一致しようとは。
「ジャノヒゲっていうたら、あの青紫の玉よ」と言われても
何の話をされているのか、一瞬戸惑ってしまいました。
花は今まさに盛りといった様子ですが、コケの上に、あくまでさりげなく、
小さな玉のような薄紫をコロンコロンといくつもつけて平然としています。
種子も同じく「コロンコロン」なのですが、
色が濃いせいか、それとも玉がはっきりと球だからか、大きいからか、
もっと意思や主張があるように思えてなりません。
とにかく花との佇まいの違いから、
全く別のものとして印象づけられていたようです。
この庭には、うちの山からコケごとやってきたらしい。
花は、もしかしたら、移動してきたことにすら
気づいていないようなとぼけ顔です。

花言葉は「変わらぬ想い」ですが、
この花言葉は、花というよりはむしろ、
常緑の葉に向けてのことではないかという気がします。
『万葉集』でも
    あしひきの 山菅の根の ねもころに
     我はそ恋ふる 君が姿に
などと読まれているんですから。
※昔は「山菅(やますが)」と呼んだらしい。
根の際から生える線形の葉は、日陰のほうがむしろ深い緑で茂ります。
この線形の葉のカタチを模して
「ジャノヒゲ」もしくは「リュウノヒゲ」と名付けられました。

茎は、高知では食用とされるそうですが、私は食べたことがありません。
ゆがいて、さらにアゲなどといっしょに煮て食べるんだそうです。