2011/06/30

2011-06-30:バラ(総称)

バラは西洋のものという印象が強いですが、
古くは『万葉集』にて

みちのへの茨(うまら)の末(うれ)に延(ほ)ほ豆の
からまる君をはかれか行かむ

と読まれ(茨・うまら=バラ)、
また江戸時代にも与謝蕪村が

愁いつつ岡にのぼれば花いばら

と歌にし、
近代では宮沢賢治や北原白秋にも愛されたそう。
あるいは、最近では福岡伸一博士の著作にも、
青いバラの花の話は(生物学的な話として)登場しています。

“西洋”といっしょにイメージされるのは
『ヴィーナスの誕生』や、またはエリザベス一世だとか。
おとぎ話の中でなら、私なら真っ先に
『ふしぎの国のアリス』を思い出します。
ドレープにレース、アールデコ、香水に宮殿…。
ほぅっと、遠く遥か届かないきらびやかな世界です。
そんなことから、私は日本人なんだと確認できてしまうのも
ちょっとおかしな話ですね。


牧野植物園にもたくさんのバラがあります。
初めて“バラ”ということを意識して見たときに、
「誰にでもわかる花なんでしょ…」と軽く舌打ちしたのですが、
たくさんの種類があって、それぞれがとてもいい。
色も香りもたくさんあって、カタチも、花弁の数も様々。
「たっぷり」といった表現が適切でしょう。
それらがアーチを作っているのですが、
たくさんのふくよかなドレスに囲まれたようで
うれしいため息が漏れてしまいました。


うちに来たのは数年前のことでしょうか。
何かのお祝いにと、母がもらってきたバラを
庭に植えていたら、勝手に育っていました。
本当は、父も姉も、バラを植えたくなかったのです。
ついこないだも、「ほら、うちの庭にそぐわない」なんて
姉は言っていたのですが、咲いてみるとやっぱりかわいい。
控え目な葉っぱも、他の山野草に自然に混じっています。

ブルドッグのようなこのバラは何と言うのでしょう。
ちょうど昨日、姉が「◎×△□バラって名前」と教えてくれたのですが、
一晩たつと忘れてしまいました。
姉が帰ってきたら、また聞いてみるとします。

これもまた、別の品種です。
濃すぎない朱色、小振りの葉っぱがまたいいですね。
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追記

終わってしまいました。
散ってしまった跡も
“いとをかし”か。

2011/06/29

2011-06-29:ノギク


広く言うと「ノギク」ですが、
そこからさらに、「ヨメナ」に「ユウガギク」「ノジギク」
「ミヤマヨメナ」「リュウノウギク」など…と細かく分類されています。
カタチから、なんとなく「ヨメナ」か「ユウガギク」だと思うのですが、
はっきりと確信を持って言えません。
たくさんあって、全部違うようにも思えます。
迷うところです。

今はまだ4つか5つしか花をつけていませんが、
これらを先駆者として、そろそろ花でいっぱいになるそう。
たくさん咲く日をまだかまだかと待っています。

今回のこのメイン写真は父ではなく私が撮りました。
(通常は父の写真なのですが)
ソロでデビューしたてのようなイメージ。
彼女たちはアイドル並みに愛らしい。
歌を歌っているけれど、見た目も歌自体もおぼつかない。
後ろにはコーラス隊がいて、アイドルの後押しをしています。
アイドルと言っても今のAKBなどとはちょっと違う。
できれば『スター誕生』などを経てスポットライトを浴びさせたい。
カメラの前ではにかんでほしい。

ノギクとは、野生の植物でキクに似ているものを指すそうです。
(キクの野生種は存在しないそうです)
キク科はキク科で正しく、花びらのように見えるもの一つひとつが“花”で、
さらにそれらの集合が私たちの目に“花”として映るのです。

ということは、聖子ちゃんと言うよりもAKB?
それか、“松田聖子”という集合体が花に見えるとするなら、
そこに集合しているのは、マネージャーやメイクさん、
作曲や作詞などなど、ということになるのかしら。
…ということを妄想しながら、ここまでといたしましょう。

父撮影。撮ったのは2〜3日前なのに、まだ梅雨の最中のような感じ。
もしこれが「ヨメナ」なら、若芽(春)におひたしなど楽しめるんですが。

2011/06/28

2011-06-28:ナンテン


















ナンテンの花が付き始めました。
「私の愛は増すばかり」「良い家族」との
花言葉を持つナンテンの花は、たしかに朗らか。
悩み知らずといった感じで爽やかに明るく咲きそうに見えます。
漢名の「南天燭」が元となり、和名でも「南天」となりましたが、
音の響きから「難を転ずる」と解釈し縁起ものとされますね。
(防腐効果を持っているから、でもあるらしい)
実でなくとも、白と黄色の花もつぼみも、クスクスと笑い合いながら
茎の頂に寄り添って咲いているように見えて、幸せそうです。

赤い実は、鳥に食べてもらい、
糞として種子を遠くにまき散らしてもらうという
南天なりの戦略のようです。
南天の実にはアルカロイドなどの咳止めの成分も含んでいるため、
その薬効が効き過ぎないように
ひとつ食べてはヨソへ運び…を繰り返すらしい。
これで、より遠くへ遠くへと、広がっていくことができるんですね。

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「もう明けたにゃぁ〜」と、
父から梅雨明け宣言がなされました。
からりと晴れて、キモチのいい日です。
写真は庭の水たまりを撮ったものですが、
どうぞ拡大して見てみてください。
水たまりの中に、青い空が納まっています。

こういう日。
高知市内はギラギラとして夏真っ盛り、
という感じなのでしょうが、
こちら、山の中腹部は風が絶えず吹いて
ジメジメとしていた梅雨よりも
過ごしやすい気がします。

2011/06/27

2011-06-27:ヒメユリ


















数日前のことでしょうか。
ヒメユリが開いた日に、ばあちゃんが、
「ヒメユリが咲いちゅうねぇ」とうれしそうに言っていました。
ばあちゃんの部屋から、ヒメユリは軽々と観賞できます。
父も「今日、ヒメユリが咲いちゅう」と
喜び勇んで写真を撮っていました。
どうやらうちの家族はみんな、ヒメユリが好きなようです。
でも、どんなにキレイに写っていたとしても、写真だけを見ると、
華々しく着飾っているように思えるパッションなオレンジ。
(ヒメユリのオレンジ具合には、かなりドキッとさせられてしまいます)
この派手な色だけを見て
「なんだか苦手だなぁ」と決めてしまっていました。

でも、実際に見てみると、
その可憐さからの「ヒメユリ」という名に頷いたのでした。
ひとつの茎に対して花は2〜3花咲き、
星を象るように規則的に開いています。
ひとつの花の直径は30〜40mm程度(に見える)で
思っていたよりもふたまわりは小さい。
それが軽やかに、懸命に上を向いているのです。
どうやらみんな、この姿にキュンとしていたようです。
よくも知らずに「あんな派手な色をして…」と
見た目で判断していたことを反省したのでした。

それにしても、こんなにもハッとさせられる色なのは、
他の草花の中でもより目立つためなのでしょうか。
花言葉は「可憐な愛情」「誇り」「強いから美しい」と。
沖縄の「ヒメユリの塔」も、あぁ、という感じがします。

2011/06/26

2011-06-26:ホコリタケ


















「ホコリタケ」と言います。
数週間前は、こんなふうな茶色じゃなく真っ白でした。
木々の下で、小さな草たちに混じる白いドームはかなりの違和感で。
キモチの悪さにケケケと笑って見守っていたら、
小石と間違うような風貌になっていました。

割ってみると、中は濃い灰色をしています。
「毒キノコっぽいよね〜」と母は言っていたのですが、
調べてみると、どうやら食べられるらしいのです。
それも、「キモチ悪い〜」と喜んでいた白い幼菌のころだそう。
ナマだとマシュマロみたいな食感、
火を通せばブリブリとしてはんぺんのような食感。
薄味の汁などでじっくり火を通せば、
中の胞子ができるところ(何と言うのでしょう…?)に
しっかりと汁がしみ込むらしい。
あああ、食べてみたい。
どうやら時期を逸してしまったようで、残念です。

それにしても、白くなくなったこのキノコは、
草葉の陰にひっそりと馴染んでしまいました。
自らの分をわきまえているような、慎ましやかな姿です。
別名では「キツネノチャブクロ」。

育ってくるとドームのてっぺん辺りに穴が開いて、
触ったら、ぷしゅっとホコリのような胞子を吹き出すそうです。
その「ぷしゅっ」が耳に入ると耳が聞こえなくなるという迷信もあるようで、
「ツンボタケ」「ミミツブシ」などとも呼ばれているそうです。

キノコって、やっぱり得体の知れないもの、ですね。

2011/06/25

2011-06-25:カキラン

柿の実の色に似た色は「柿色」。
コトバの響きから、
どこかの地方で言われている色名のように感じていましたが、
歌舞伎の世界で使われているのも「柿色」のようで、
どうやら色名は全国共通、ということらしい。
橙色と混同しそうですが、橙色よりももっと紅い。
熟れた柿の色、と言うべきでしょう。
目分量で見て柿色だからと付けられたこの花の名は
もしも現代のようにどれがどの配分の色かメジャーで測るようにして見ると、
「カキラン」ではなく「ダイダイラン」だったかもしれません。

どうしてこんな話から始まったかというと、
母が「カキランの“柿色”って全国共通なの?」と聞いたからです。
でも、そう思って見ていると、
カキランの色は土の上、葉や茎の間など、
自然の色の中に溶け込んで意外と目立たないものなんですね。
同じオレンジの色目でも少し赤味が強くなるだけで
ヒメユリなんかはパアッと華やかだなぁと。
ま、それは、咲き方やカタチ、大きさによるところも大きいのでしょうが。

花の中をじいっと見てみると、唇弁の内側に紫の斑紋が。
こうすると、生き物のナマナマしい感じが伝わります。

姉は中学生のころに学校へ向かう坂道の途中で
咲いている柿色の花に気がついたそうで、
それがとてもうれしかったらしい。
学校に行く途中のささやかな喜びだったのでしょう。
でも、誰も、この目立たず、背の低い花に気づかない。
それで、その坂道の脇には、未だ変わらずカキランが咲いています。
姉にカキランのどこを好きなのか聞いても
「かわいいでしょ」というようなボンヤリとした返答しかありません。
なんとなく「誰も気づかない、私だけが知っている」という想いも
この花を好きだと思う理由なんじゃないかと、深読みしてしまうのです。

2011/06/24

2011-06-24:キキョウソウ

帰化植物のキキョウソウでした。
北アメリカからやってきたらしい。
それに対して「なーんかいけ好かん」と言っているのは姉。
馴染みの草花(=田舎者)の中に、
都会者が紛れ込んでいるようでどうも鼻につくらしい。

だいたい、外来種は、繁殖力が旺盛なイメージが強すぎるのです。
キキョウソウもそのイメージに違わず。
キキョウソウの場合は、確実に子孫を残す方法と、
より強い個体を残す方法の2通りをやってのけるそうで。
後者の役割は開放花(咲く花)、
前者は開放花の下にある閉鎖花(咲かない花)が担っています。
(この写真では閉鎖花は確認できないのですが)
つまり、まず、閉鎖花で自家受粉をし、子孫を確実に蓄えてから
開放花にて昆虫などを媒介し、他の個体と交わる、と。
どうやらキキョウ科は全てそういうふうにできているようですが。
実が熟すとがく片に楕円形の窓が開いて種子をこぼします。
花の咲かない時期は茎だけになってじっと時を待っています。
子孫繁栄への執念をひしひしと感じます。

帰化植物と言えば、文明開化の時期に緩衝材として
荷物の間に詰められたことをきっかけに帰化した
シロツメクサ、アカツメクサもあります。
(詰め草、ということなのですね)
ここで生きよう・生きなければ、の決意も半端じゃなかったでしょう。
思えば、当時は長い船旅で、しかもかなりの悪環境で、
生き延びていたものがあるなんて奇跡にも近い。
その数少ない奇跡の命が生きながらえ、ここに根付いた証とも言える。

1930年代に日本で確認され、キキョウに似ているからと
そこになぞらえて名付けられたキキョウソウ(別名:ダンダンギキョウ)。
ムラサキの小振りな花も、そう思えば控え目に映ります。
「なーんかいけ好かん」と言いながら
姉はそれでも「うふうふ。かわいいよね」と
うれしそうに愛でているようです。

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追記

私はこのオレンジすぎるのがどうもニガテですが、
みんながうれしそうなので。

2011/06/23

2011-06-23:カワラナデシコ

























縁が細かく切れ込んだ花弁が可憐に見えるのですが、
土の下ではいかつく縄張りを広げております。
うちの庭では、むしろきちんと抜いてやらないと
どんどんどんどん庭が浸食されそうな状態です。
ま、裏番長(死語?)といったとこ。
これが本当に絶滅危惧種だとは、なかなか思いにくいのですが…。
(地域によってはそうらしい)

ナデシコは、人間との関係が密接なのだそうです。
草刈りや枝打ちなどで広がり、
日当りのよくなったところに伸びやすくて、
自然とともに生きる里山の生活の場の中でよく見られます。
きっと人間との関係が密接な野の草花や木々は他にもあるはずで、
そういうふうに考えると、人間の営みだって卑下する必要はないのでしょう。
「草刈り」「枝打ち」だって、バランスよく植物が生きていく上で
役に立っている部分も大いにあるんですから。
ともに生きる、といった発想があればこそ、ですね。
だから、絶滅危惧種に登録されているということは、
それだけまた、私たちの生活の環境や方法が変わっているということ。
いいか悪いかは、ここでは置いておきます。

ナデシコは、ススキやキキョウ、オミナエシとともに秋の七草としても。
つまり、観賞用として利用されてきたということです。
そういえば、清少納言もナデシコを引き合いに出していますね。

草の花は 撫子(までしこ)、唐のはさらなり、大和のも、いとめでたし。女郎花。桔梗。朝顔。刈萱(かるかや)。菊。壺すみれ。  ※『枕草子』(清少納言)

ちなみに花言葉は「大胆・熱愛・純愛」だそうです。
撫子とは、「撫で撫でしたいほどかわいい子」という意味。
みなさん、このかわいい顔に注目するんですね。

2011/06/22

2011-06-22:リンゴ

真っ青な空。
真っ白な入道雲もところどころに。
ついさっきスコールがありました。
どうやら夏がやってきたようです。
見上げると、リンゴの実も大きくなっていました。
植えて何年にもなるのに、
こんなにも実が大きくなったのは初めてのこと。
「リンゴ、大きくなったねぇ」などと
樹を見ると家族中がうれしい顔になります。

リンゴに関して言えば、喜びは当然ながら「家族中」にとどまりません。
古くから愛されてきた食べ物だということは
多くのもののシンボルとして扱われていることからもわかります。
ニュートンにアダム&イヴ、ウィリアム・テルに黄金のリンゴ、
ビートルズのアップル・レコードや
マッキントッシュのアップルもありますね。
日本には平安時代に伝わったものですが、当時のは観賞用の和リンゴ。
その後、戦国の世のころに食用の西洋リンゴが伝わったそうで、
贈り贈られ…の資料もけっこうたくさん残っているんだとか。
むむむ、けっこう歴史的に「うれしい顔」を作ってきたのですね。

さてこの先、葉を摘んだり白い袋をかぶせたりするべきなのでしょうか。
イチゴのように、甥を喜ばせることになるのでしょうか。
収穫時期はお盆前。
楽しみです。
そして、うちのリンゴの品種は何なのでしょうか。
(世界的にはフジリンゴが最も多いらしい!)

ちなみに、リンゴはバラ科なんだそうです。
葛飾北斎の絵には実ではなく花が描かれています。

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ヒメユリもそろそろ咲きそうな雰囲気。
今日は天気がとてもいいです。

2011/06/21

2011-06-21:ミヤマオダマキ

























「オダマキ」と言います。人の名前みたいです。
漢字では「苧環」と書きます。
機織りの糸を巻く道具のカタチに似ていたことから
こう呼ばれているようです。
静御前の歌にも名前が登場していました。

しづやしづ  賎(しづ)のおだまき  繰り返し
昔を今に  なすよしもがな

この歌では「道具」のほうのオダマキを意味しています。
でも、源義経を偲んでいる儚げな様子が花の印象と合っている。
色は紫やピンクなどいろいろとあるようですが、
私は、家にあるこの白い花が哀しみを堪えているようで
最も魅力的に見えるんじゃないかなと思っています。
見えている花びらのようなものは萼。
実際の花弁はこの内部にまとまって存在しているようです。

花言葉は、西洋のオダマキからきていて
「勝利への決意」「断固として勝つ」と。
西洋のオダマキは写真のミヤマオダマキとは違って上向きだから、
受け取る印象も全然違って、強くたくましいものになるのでしょう。
だから、花言葉とは全然違っている…とは理解はするのですが、
一方で、この憂いをたくわえた美しい花の顔の裏に
したたかな演技力を盗み見し、もしくは見抜いたような気がして
シメシメ…とうれしくなります。
ちなみに、高山の山野草の中でも育てやすい植物だそうですから、
余計に女の強さが証明されているように思えます。

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追記

濡れたアジサイの花の色が鮮やか。
そして、ヤマアジサイも
これだけ群生すると立派ですね。
はせっせせっせと写真を撮っています。
華やかですね。

2011/06/20

2011-06-20:ヒメシャラ


















今日はどしゃ降りの雨です。
こんな雨がふりしきる中
(むしろ、ほとばしる雨、と言った感じですが)
透明感を保って涼しげにしているのはヒメシャラ。
向こうが微かに透ける花びらを揺らしながら
すっくと直立している姿のいい滑らかな赤茶色の木。
ヒメシャラのは林の中でも目を引きます。
夏でも冷たい木肌は、目に止まるとどうにも触ってみたくなる。
触ってみると木肌も硬く、キメが細かく、少し冷たい。
強い意思を示しているかのようです。

もうひとつ、シャラノキ(ナツツバキ)もあります。
これもヒメシャラとよく似ている。
ただ、ヒメシャラのほうが花が少し小さい。
幹も、ヒメシャラのほうが赤茶が濃いように思います。
シャラノキのほうが貴婦人、
ヒメシャラは白いワンピースを着たお嬢さん、
といった感じでしょうか。
シャラノキは、仏教の聖樹・娑羅双樹(シャラソウジュ)に似ていることから
こう呼ばれているそうです。

2011/06/19

2011-06-19:ウメノキゴケ


















どうです、このオドロオドロしい感じ。
白色の混じったミドリの皮膚が
ぺったりとくっついて、ところどころに
吹き出物が割れたクレーターのようなものが見えます。
「キモチ悪い!」なんて思われるかもしれません。
父も「これは取り除きたいがやけど…」と
写真をなかなか撮ってくれませんでした。

これはウメノキゴケのひとつ。
地衣類の一種だそうで、
「コケ」と名付けられてはいるものの、
生物学的なコケ植物ではないそうです。
光合成のできない菌類と
光合成のできる緑藻類またはラン藻類の美しい共生。
おかげで、空気中の水分を取り入れることができます。
根っこはなく、この幹(モミジ)にも、ただくっついているだけ。
ちなみに、南方熊楠はこの地衣類に熱狂したらしいです、うふふ。
(水木しげる作の『猫楠』は必読ですよ!)

「最も強固な相利共生の一例」と言われるだけに、
墓石や銅像の他にも、たとえばアスファルトの上だとか、
ビルの屋上のコンクリートなんかでも普通に目にすることができます。
(それでも、環境指標のひとつらしい。できないところってあるの?)
そういうところで見ると、ヘドロか何かと混同し、
ただ不潔なだけにしか見えません。
でもこの、自然界になさそうに見える配色が
こうして改めて植物の中に紛れ込むと
あまりに個性的すぎて心惹かれてしまうのです。

2011/06/18

2011-06-18:スノキ


















こないだ初めてスノキの葉っぱをかじってみました。
母から「ほら、この葉っぱかじってみ」と言われたので。
ぶわーっと酸味が広がる、
とかそういう強烈な感じではないのですが、
あまりに唐突だったので、
「うわっ、すっぱい」と顔をしかめてしまいました。
その横で母は、「ね、スイバだから」と笑っていました。

「スイバ」=「酸い葉」。
どうして酸っぱいのか、
酸っぱいことで何か得になるのかわかりませんが、
みんなこの木の葉の酸っぱさが気になるのでしょう。
正式名称の「スノキ」の他、「スイシバ(四国)」、
先ほどの「スイバ」など、
どれも葉っぱが酸っぱいことからの通称名です。
つまり、みんな気になって口にしている、
ということでもありますね。
実(ミ)も酸っぱいらしい。
ブルーベリーやビルベリーの仲間でもあります。

高さは2mほど。
上に向けて、ではなく、
横へ横へと広がっていきます。
というか、横に倒すと上に広がります。
いろんなものの間をすり抜けながら生きているよう。
根を見ると、いびつなカタチをしていて
「あぁ、苦労したんだな、と思う」と姉が言っていました。
花が静かに終わって、今、実を付け始めています。



黒くなる前の実。
ちょうど、花びらが落ちて、
膨らんでいる様子がわかります。
そして、黒くなる前と後とでの
木の印象も全然違っていることにも
注目したいところ。







ついでに、これは以前に載せた
ドウダンツツジの花。
姉曰く、スノキの花も、
ちょうどこれとよく似たベル型とのこと。

ちなみに、スノキはツツジ科スノキ属です。

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追記

ツルニンジンもどんどん伸びています。
花が咲くのがとても楽しみ。

2011/06/17

2011-06-17:ウチョウラン

























庭に植物を植え始めたころ、
姉は一生懸命にそれぞれの植物に立て札を立てていました。
甥もそろそろ庭で遊び始めていたので、
せっかく植えた植物を引き抜かれないように、
ということも目的にはあったよう。
そんな姉の希望通り、というか、
甥は、立て札のある植物に興味を持ち、
むしろ、立て札の立ててある植物を抜きまくったとのこと。

ウチョウランを植えてあるところにも立て札が。
いや、正確に言うと、「植えてあるところ」ではなく、
「植えてあったと思われるところ」に。
生長して花を開かせたものは、
だいたい、立て札から1mほどは離れたところにあり、
「うーん、種が滑っていったのかねぇ」と
姉は、苦しい言い訳をしています。
それにしても、立て札があろうがあるまいが、
ハイセンスなカラーリングは人の目を引くことに違いなく。

中でも、上の写真の花は、白と赤紫の配色が美しいのです。
赤紫の見える分量が多い正面よりも、
白の分量が多い横顔がいい。
庭の通り道に向かって
正面でなく写真の向きで横向きに立っているのも、
写真映りを気にしてのことか、と思わせます。









上のような2色の花の他、
白やスミレ色の1色のものも。
1色だと清楚に見える。


昭和40年代は
「ウチョウランブーム」といわれるほど
栽培収集が加熱気味だったよう。
その流れを受けて、
野生の品種は希少だそうで。


とにかく、どのウチョウランも、
立て札の立ったところから“滑った”ところで生きています。
その場所を選んだのは「たまたま」なんでしょうが。

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追記

木々に隠れて、
これまた知らない花が咲きました。
誰か知っている人がいたら、
教えてもらえるとうれしいです。
(どこででも見かける花なのですが)

2011/06/16

2011-06-16:ササユリ

 

正直なところ、見た目ですぐに「キレイ」とわかるものに、
私はそんなに関心を寄せてはいませんでした。
パッと華やかなのですが、
みんなが同じように「キレイな」と思うだろうと思うと、
もう少し他のものを探してみようか、とカラダが自然と避けてしまう。
小さく生えた葉や茎や、妙なカタチをした実や花など
人の注目をなかなか集めないもののほうが、
地道でサボッていない、というような印象で、心を動かされるのです。


おとつい、ササユリの花が開きました。
(写真はおとつい撮られたものです)
じっとササユリを見てみると、
アリと、バッタの幼生のような虫など、
匂いに誘われてやってきたものたちが
くっついていました。
彼らの向かう先には、つやのあるめしべに、
こぼれるほどたっぷりと花粉をつけたおしべ。
その様子は、こちらが思っていた
ユリの華麗なイメージを1歩奥へ進めるものでした。


ユリの花は単に「キレイ」というよりも、
何か他の生き物を、惹き付ける力があるのだろうと
思い直しているところです。
それは彼女が生きる上でとても大切なことに分類されるのでしょう。
そういえば、子どもの頃、家に飾られたユリを、
姉が一生懸命に受粉させていた姿を思い出します。
誰もが「キレイ」と認めることにもまた、理由があるんですね。

このササユリは、うちの山からやってきました。
大きくて華やかな顔は、
今、雨に降られてうれしそうにユラユラと揺れています。
この「ユラユラ揺れる」様が
名前の由来(揺り)だとする説が強いそうです。

2011/06/15

2011-06-15:オウレン


















今見えている茶色いのはオウレンの種。
華やかではないですが、
シンプルなシンボルマークのような
形の規則性と小ぶりな具合がいい。
父はこれをまたどこかに植えるべく(?)
せっせと種を収穫して乾燥させておりました。
オウレンは、葉っぱもカタチがいいのです。
(葉っぱはうまく見えていませんが)
ちなみに、牧野植物園のシンボルである
バイカオウレンの場合は、
梅の花のように5つの葉をつけています。
これは、牧野博士のお気に入りだったそう。

かつて、うちでは薬草の栽培や販売の
中継ぎをしていたことがありました。
今もその薬草たちは残っていて、
このオウレンも、山に生きていたものを移植したもの。
地下を斜めにはっている根茎は黄連とよばれ、
健胃、整腸薬などで使われるとのことです。
「オウレン」とは、漢方薬に使われる「黄連」で、
これは、根茎の色と形状を模したものが由来になっています。

3月ごろには、小柄な白い花が咲いていました。
花や実をつける茎は、
地面近くで広がる葉と違ってすっくと立ってます。
その高さの違いは10〜15cmほどでしょうか。
地下で広がっている根の直上にて
光合成を行いながら湿気を保とうとする葉と、
昆虫を受粉に誘うため(雄と雌の株が違っているのです)、
できるだけ高い位置で目立とうとする花。
それぞれの役割を全うするために作られた
オウレンの2階層構造です。
他の植物でも見られる構造ですが、
オウレンのは他のより高低差が大きい気がします。
だからすぐに発見できてしまいます。

2011/06/14

2011-06-14:ホオズキ

























今、庭のホオズキは忙しい時期に入りました。
こないだ花が咲いていたところに、
ほんの10〜15mmほどの実がついたばかりです。
そのすぐ上には、咲いたばかりの花がまた。

「ホオズキ」と言えば、朱色に染まったもの、
またはある程度の大きさに育ったものばかりを
思い出すことばかりでした。
だから、「できたばかり」のこのホオズキは、
私にとって、初めてみるホオズキの姿です。
実際、生まれたばかりのこの小さい実のなんと初々しいこと。
実を包む葉の肌が、赤ちゃんみたにツヤツヤとしています。
これが大きくなって、また、種ができる。
葉の下に隠れて、じっくりとその時を待っているようです。

「ホオズキ」という名は、
子どもが果実を鳴らして遊ぶ様子を模しての
「頬突き」が元となっています。
つまり、ホオズキと聞くと、「子ども」や「遊び」、
または「夏祭り」のようなワードを連想しがちです。
でも、この「できたばかり」のを見ると、
朱色に熟れたものは、充分に大人なのだなと感心してみたり。
ああ、やはり、それでも朱色の“べべ”は、
「町娘」のような…と思い直したりもするのです。

2011/06/13

2011-06-13:ウメ


週末、降り続いた雨も止んで、梅雨の中休み、といったところ。
雨露をカラダに残したまま受けた光は、
こんなふうにも反射するもんなのでしょうか。
恵みの雨の後の日光、植物がぐんと伸びていく感触。
そろそろ初夏らしい日差しも、
葉に覆われた木々の中では穏やかに感じられます。

そんなうちの庭の木々のひとつに梅があります。
その梅の木も実がかなり大きくなりました。
母はせっせと収穫して、梅干しにしようと画策中。
さて定年退職後の主婦復帰プロジェクト、
うまくできるのか見物です。
(私は、梅干しより梅酒のほうがうれしい)
とにかく、梅の木は、花に実にと、
確実に春の始まりと終わりを告げるのですね。

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追記


庭の小道にもたくさんの植物が
うれしそうにしています。







アケビのツルがくるくると。
夏休みごろには白い花が咲きます。






名前はわかりませんが、
ひらべったいキノコ。
木々の下でほっこり。



今日はいい天気です。


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追記2

このブログの写真を撮っている父が、
「自分でもやりたい!」とのことで
国道197号線の周辺を紹介する
ブログを作りました。


R197
http://r197.blogspot.com

よろしければ、ご覧ください。
(今回は、梼原町太郎川の旧国道を写しています)

2011/06/12

2011-06-12:セッコク



セッコクの花が咲きました。
昨日までのつぼみだった間も
父がチラチラと様子を見ていましたが、
今日、いよいよ咲きました。

ウィキペディアで調べてみると、
セッコクの花は数年で一度しか咲かない、
もしくは、一度咲いたらもう二度と咲かないということのよう。
ついでに、葉も、花が咲く前の年にしかついていません。
一度しか咲かない花を咲かせるためのエネルギーを集めて
蓄えているのでしょう。
そして、花の後は茎だけが残ります。
(その後、大きく育った株を分けるなどして増やすようですが)
「花が咲いた後も茎は数年間生き残り、場合によっては大きな株になる」
とありますが、これは、今咲いているものが終われば、
同じ株で花を咲かせることがないということなのでしょうか。
このへんは、調べてもはっきりとわからないところです。
でも、とにかく頻度多くは咲かないようです。

実際には他の植物だって
「同じ花」は二度と咲かないのでしょうが、
この「何年も準備をして数年に一度だけ咲く(もしくは二度と咲かない)」
ということが、なにかとても大切なものを見たような、
もう二度と会えないような、うれしくも儚い気分を助長するのです。


根を空気中に出し、
大木や岩壁に根を張って着生するセッコク。
うちでは「大木」ではないですが、
カリンの木に巻き付けて育てました。
必死でしがみついているようで、
健気そのもの、といった感じ。


セッコクは漢字で「石斛」と表記します。
中国産の近似種に当てられた名称のよう。
漢方薬に使われたことから、こういうような呼び名なんだそうです。

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追記

「コメントができない」とのご指摘ありました。
改善しましたので、よろしければ、また、コメントをお願いします。

2011/06/11

2011-06-11:クマシデ



これも“ユミギ”同様、「わからない木」。
とにかく、濃い緑の葉に葉脈の溝がしっかりと規則的についていて、
あと、花らしきキミドリの包みが重なって
松ぼっくりのようなものができています。
どこにもなさそうな風貌で、私のお気に入りのひとつ。
うちの山(標高600m以上)からやってきました。

じいちゃんや姉に聞くと
「標高の低いところでは見たことがない」とのことで、
だから「うちでちゃんと育つのか不安だった」そうです。
庭にあるのは高さが4〜5mほど。大きくなりました。


上が花。
この、緑の松ぼっくりのようなものが
たくさんなっています。
(“咲いている”よりしっくりきます)
下が葉っぱ。
花とは色がけっこう違います。




松ぼっくりみたいな花を
1つずつめくってみると、
それぞれにメシベとオシベらしきもの。
紅く染まった花びらは、
日によく当たったからだと思われます。


おそらく、花穂に包まれた実が育って重たくなって下向きに地面に落ち、
それによって土に種が植わるという仕組みになのでしょう。
上向きに落ち、乾燥させてかさを開き、
かさから種子を飛ばす松ぼっくりとは広がり方が全く違う。
カタチが似ていても、それが何でできていて、
どこに重心があるかで生き方が変わってくる。
そんなことに思いを馳せて感慨深くなったりして。

さて、この木の名前ですが、
牧野植物園の小松さんによると「クマシデじゃないか」と。
シデの中では花穂が最も大きいことから「熊」と言う。
漢字では「熊四手」「熊垂」と書くようです。
また、「カタシデ」との別名もあるそう。
材が堅いから「カタシデ」とのことで、建材にもよく使われます。
材が堅いということは、大きく育った個体に出会うことも稀なようで。
ブナ目カバノキ科のクマシデ属、落葉広葉樹。

…植物図鑑買おうかな。

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追記

同様に“ユミギ”についても続報。
こちらは、「コマユミじゃないか」と。
家では「マユミ」か「ニシキギ」かで
論争になっていましたが、これで解決。
それにしても、「ユミ」と名前に付くあたり、
やはり目につく特徴は
だいたい共通するものなんですね。

2011/06/10

2011-06-10:スギゴケ



甥を幼稚園に連れていくときに初めて気づきました。
スギゴケの中に茶色い胞子がニョキニョキッと伸びています。
おとぎ話の中の世界みたいに見えます。
「知っちょった? かわいいね」と言うと、
「知っちょった。かわいいね」と返ってきました。
それから5分ほどヘバりついて見た後、幼稚園に向かったのでした。

なぜ甥が先に知っていたかというと、
甥が伸び切って茶色くなったコケ(写真には写っていない)を
いつも丁寧に切っていたからのようです。
伸びすぎたり密生しすぎると、新しい芽が伸びなくなるし、
見た目にも美しくなくなってしまいます。
作業としても、どれを切っていいのか単純で分かりやすいから、
父が「切ってね」とよく頼むそうで。
スギゴケは、コケには珍しく日当りを好むため(自力で光合成をできる)、
一般的には管理が少なくていいとされますが、
キレイさを保つには、やっぱりお手入れをしたほうがよさそうですね。

さて、これからのジメジメとした季節の間に、
スギゴケの周辺には白いキノコが生えてきます。
それもまたおとぎ話風なんでしょうか。



スギゴケにも、さらに細かく
コスギゴケやウマスギゴケ、オオスギゴケの
分類がありますが、
「しっかりと解剖してみないと…どうかな」とのこと。
(談/高知大理学部准教授の松井先生)
だから「スギゴケの仲間」というレベルで
大まかに記してみました。

ちなみに、最近は笹に囲まれています。

2011/06/09

2011-06-09:シロモジ



庭をどうしていこうかと考えていたころのことでしょう。
「“ヤカラメ”を、うちの庭の基調になる樹にしようや」
姉が言ったとき、家の人たちはほとんど「?」だったそうです。
特にじいちゃんは、“ヤカラメ”はうちの山にたくさんあり、
むしろ伐採して処分してやりたいと思っていたくらい、とのこと。
嬉々としている姉を見て、「!???」だったろうと想像します。

“ヤカラメ”ことシロモジを姉が好きなのは、
樹型も葉っぱも、カタチや色がキレイというのが主な理由。
カエデのような薄手の葉っぱは
紅い色をして誕生し、紅葉のころ黄色く色づきます。
少し丸みを帯びながら3つに分かれた葉のカタチもいい感じ。
山の中で盛っているのでしょうが、それにしても洗練された容姿です。
育つにつれ、「案外キレイな」とまんざらでもない反応を示す
じいちゃんを見て、姉は「ほらね」と得意顔なのです。

そんなわけで、うちにはシロモジがいくつもあります。
花も複雑な形状や構造で咲くそうです。
葉っぱには少し油分があるんでしょうか。
はじかれてツルンとなっている雨露にも趣あり、です。


シロモジは、クロモジの対比としての名称です。
(クロモジは高級楊枝などで使われてますね)
温暖な低い山でよく見られるらしいです。
クスノキ科の落葉低木で、枝は強靭、
杖などに利用されていたこともあるそう。
“ヤカラメ”という通称名は、「輩め!」という感じが、
じいちゃんの話からして察するところですが。

2011/06/08

2011-06-08:ドウダンツツジ



うちの山からきたドウダンツツジです。
ふつう、花壇や生け垣では、
剪定をして揃っている姿をよく見かけると思います。
これも一斉に花が咲くのでキレイですが、
うちの庭では、2mほどの高さで、
あるがまま・なすがままの姿で立っています。
ちょうどカメラを向けたときに花が落ちたようです。
写真を撮った父は、そのことに気づいているのでしょうか。
慎ましやかすぎて、気づいてないかもしれません。
丸く膨らんだスカート(花びら)が鈴なりで、
とても愛らしいです。

うちの両親は、段々となっていくから
「ドウ“段”」だと思っていたようですが、
調べてみると、漢字では
「燈台躑躅」「灯台躑躅」「満天星躑躅」と表記するよう。
これだけで、由来をなんとなく察することができます。
母に報告すると「え〜、違うの!? うふふふ」と笑っていました。
学名は「Enkianthus」。
ギリシャ語の「enkyos(妊娠する)」と「anthos(花)」。
やっぱりカタチに特徴があるんですね。

2011/06/07

2011-06-07:ヤマアジサイ



雨露に濡れたアジサイは、
より濃く鮮やかに目に映ってキレイです。
写真は、山アジサイ。
花は小さく、枝は細く、葉も薄くて光沢なし。
着飾るところ全くなしなのですが、
なおのこと、風情を強く感じさせるようです。
土壌の質は花の色を創る要因のひとつですが、
…濃い藍色はどういう土壌を意味するんでしょうか。

高知はふだんの年より数週間早く、
早々に梅雨入りとなりました。
この4日には四万十市の安並水車の里でも
「紫陽花の宴」が行われていたようです。
早い梅雨も季節の楽しみのひとつ。
雨の中、私たちも連れ立って、
牧野植物園の「ユリとアジサイ展」に行ってきました。
たくさんの色が華やかで、とてもキレイでしたが、
色とりどりのアジサイはどうやって創るんでしょう。はて。

2011/06/06

2011-06-06:ユミギ(通称名)





〜この木なんの木 気になる木
名前も知らない木ですから
名前も知らない花が咲くでしょう〜



うちの山からやってきた、“名前も知らない木”。
枝は地に近いところから別れ、緩やかにたわんでいます。
細くて長い枝がいくつもあり、
赤ちゃんの手ほどの葉をいくつもつけます。
たわんだところがちょうど森の入口を示す“アーチ”のようで、
私が「森」をイメージするとき、すぐに思い出す樹のひとつ。
でも、誰も名前を知りません。

通称では「ユミギ」と呼んでいたようです。
じいちゃんが言うには
「昔はこの枝で炭を入れる俵を編みよった」とのことで、
枝のしなり具合を模して「弓木」と呼ばれたのでしょう。
正式名称ではないようですが。



こないだ、庭をウロウロとしているときに、
直径10mmほどの小さな花が
たくさんついていることを発見しました。
葉っぱの緑より薄い色、
「ベイビーグリーン」と言いましょうか。
その小さな花たちは、いつか黒色の実になるそうです。

秋の紅葉時期には紅い葉になります。
朱色っぽい、というよりはピンクだそうで、
それもまたキレイなのよ〜と母が言っています。