柿の実の色に似た色は「柿色」。
コトバの響きから、
どこかの地方で言われている色名のように感じていましたが、
歌舞伎の世界で使われているのも「柿色」のようで、
どうやら色名は全国共通、ということらしい。
橙色と混同しそうですが、橙色よりももっと紅い。
熟れた柿の色、と言うべきでしょう。
目分量で見て柿色だからと付けられたこの花の名は
もしも現代のようにどれがどの配分の色かメジャーで測るようにして見ると、
「カキラン」ではなく「ダイダイラン」だったかもしれません。
どうしてこんな話から始まったかというと、
母が「カキランの“柿色”って全国共通なの?」と聞いたからです。
でも、そう思って見ていると、
カキランの色は土の上、葉や茎の間など、
自然の色の中に溶け込んで意外と目立たないものなんですね。
同じオレンジの色目でも少し赤味が強くなるだけで
ヒメユリなんかはパアッと華やかだなぁと。
ま、それは、咲き方やカタチ、大きさによるところも大きいのでしょうが。
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花の中をじいっと見てみると、唇弁の内側に紫の斑紋が。 こうすると、生き物のナマナマしい感じが伝わります。 |
姉は中学生のころに学校へ向かう坂道の途中で
咲いている柿色の花に気がついたそうで、
それがとてもうれしかったらしい。
学校に行く途中のささやかな喜びだったのでしょう。
でも、誰も、この目立たず、背の低い花に気づかない。
それで、その坂道の脇には、未だ変わらずカキランが咲いています。
姉にカキランのどこを好きなのか聞いても
「かわいいでしょ」というようなボンヤリとした返答しかありません。
なんとなく「誰も気づかない、私だけが知っている」という想いも
この花を好きだと思う理由なんじゃないかと、深読みしてしまうのです。
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