2011/07/23

2011-07-23:キキョウ


















昨日、庭を散策していたときにはまだ上の写真の状態で、
花びら同士がぴたりとくっつき、
風船みたいにぷくっとふくれていました。
英語名では「balloon flower」と言うそうですが、
海も国も超えて、この姿には心をぐぐっとつかまれるようです。
咲かずにこのままでいてほしいような、
早く咲いた姿も見たいような、そんな気分です。

いよいよ咲くとなると、その瞬間ももちろん見逃せません。

「桔梗の花 咲く時ポンと 言ひそうな(加賀千代女)」
花は美しく、しっとりとした浴衣を纏ったような姿が印象的です。
キキョウ科の多年草です。
キキョウの雄しべと雌しべとは成熟期が異なるそうで、
雄しべから花粉が出ていても、雌しべの柱頭が閉じたままの雄花期、
花粉が活動をやめて柱頭が開き、
他の花の花粉を待ち受ける雌花期とがあり、
自家受粉を避けています。
花粉の媒介者は虫ですね。
で、咲いたばかりの今は、まだ雄が熟した状態でしょう。

ちなみに、平安時代の辞書には(『和名抄』か?)
「阿利乃比布岐(ありのひふき)」と紹介されているそうです。
つまり「蟻の火吹き」。
蟻が桔梗の花びらを噛むと、蟻の口から出た蟻酸(ぎさん)と
桔梗の色素アントシアンが反応して
紫の花が赤く変色する様子を言っているらしい。
蟻が火を吹いているように見えるから、とのことです。

花言葉は「気品」「清楚」。
強くひとりで立ち(そういえば、先日の台風にも負けませんでしたね)、
凛とした面持ちで前を向いています。
この花のカタチを象って桔梗紋ができたり、
江戸城にはききょうの間や桔梗門と「桔梗」の名のつくところもと、
武士に好まれる花でもありました。
京都は一條戻橋の晴明神社の神紋でもあります。
そういわれると、どことなく、
“覚悟”を決めた刹那な姿勢に見えなくもない。

秋の七草としても知られる桔梗ですが、
今はもう絶滅危惧種に数えられます。
“覚悟”を解いて、しなやかに生き続けてほしいものです。

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