昨日、庭を散策していたときにはまだ上の写真の状態で、
花びら同士がぴたりとくっつき、
風船みたいにぷくっとふくれていました。
英語名では「balloon flower」と言うそうですが、
海も国も超えて、この姿には心をぐぐっとつかまれるようです。
咲かずにこのままでいてほしいような、
早く咲いた姿も見たいような、そんな気分です。
いよいよ咲くとなると、その瞬間ももちろん見逃せません。
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「桔梗の花 咲く時ポンと 言ひそうな(加賀千代女)」 花は美しく、しっとりとした浴衣を纏ったような姿が印象的です。 |
キキョウ科の多年草です。
キキョウの雄しべと雌しべとは成熟期が異なるそうで、
雄しべから花粉が出ていても、雌しべの柱頭が閉じたままの雄花期、
花粉が活動をやめて柱頭が開き、
他の花の花粉を待ち受ける雌花期とがあり、
自家受粉を避けています。
花粉の媒介者は虫ですね。
で、咲いたばかりの今は、まだ雄が熟した状態でしょう。
ちなみに、平安時代の辞書には(『和名抄』か?)
「阿利乃比布岐(ありのひふき)」と紹介されているそうです。
つまり「蟻の火吹き」。
蟻が桔梗の花びらを噛むと、蟻の口から出た蟻酸(ぎさん)と
桔梗の色素アントシアンが反応して
紫の花が赤く変色する様子を言っているらしい。
蟻が火を吹いているように見えるから、とのことです。
花言葉は「気品」「清楚」。
強くひとりで立ち(そういえば、先日の台風にも負けませんでしたね)、
凛とした面持ちで前を向いています。
この花のカタチを象って桔梗紋ができたり、
江戸城にはききょうの間や桔梗門と「桔梗」の名のつくところもと、
武士に好まれる花でもありました。
京都は一條戻橋の晴明神社の神紋でもあります。
そういわれると、どことなく、
“覚悟”を決めた刹那な姿勢に見えなくもない。
秋の七草としても知られる桔梗ですが、
今はもう絶滅危惧種に数えられます。
“覚悟”を解いて、しなやかに生き続けてほしいものです。
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