2011/09/15

2011-09-15:ヒガンバナ







































ヒガンバナに別名があることは、
小さいころに、河原に真っ赤に咲くヒガンバナを
ボンヤリと眺めていた私に、姉が、
「曼珠沙華とも言うがよ。饅頭さげてるみたいやろ」と
教えてくれたことでずっと覚えていました。
本当のところは、仏教に由来するとのことで、
饅頭とは全く関係がないのですが。
他にもたくさん教えてもらいました。
オオイヌノフグリは、たぶん一番最初に知った植物です。
それはまたおもしろい話なので、
何かの機会にお伝えすることとして、
とにかく、姉から教わる植物の名前とその由来は、
インパクトがありすぎて忘れられません。
だって、「饅頭さげてるみたい」というのが、
私の中ではどうしてもそうは見えなかったからです。
でも、姉の豊かな想像力に身を委ね、
「本当に饅頭さげてるみたいやね」と言いました。

暑さ寒さも彼岸まで。
ヒガンバナが見られるという時期ですから、
さすがに朝も夜も冷えるわけです。
そこにスクッと葉も枝もないままに
花だけを頭につけたこの植物は、
幼いころに眺めていたときも思ったように、
やっぱり異様な美しさだなと感じます。
そういえば、最近読んでいる本の中のエピソードに
彼岸花の花束というのが出てきます。
多くの場合そうであるように、
彼岸花は、そこでも因縁のあることの象徴として描かれています。
毎年、道端にも、それこそ河原にも咲いて馴染みがあるのに、
どうしてもその姿には“馴染めない”。

調べてみると、ヒガンバナは中国からの
帰化植物と考えられているそうです。
稲作が伝わったころ、その稲にくっついてきたという説が有力で、
さらに、日本に存在するヒガンバナが
全て同一の遺伝子を持っていることから、
想像もできないくらい遠い昔に伝わった1株の球根が
日本各地に広がったのではないか、と。
その生き方はまた異様で、
花が終わってから後に深い緑の艶やかな葉がついて、
でも春に枯れてしまってからは、
秋の花の時期まで地表には何も現れません。
たしかにこれでは、“よくわからないもの”としての印象が強い。
神がかっているようにも思えて、
崇めるか、それとも、忌み嫌うか。

昼と夜がちょうど12時間ずつになる彼岸の時節。
無駄の一切を省き、造形物のように見える花は、
それこそ、アチラとコチラの回廊を彩っているようにも。
ああしかし、美しい。

1 件のコメント:

  1. ヒガンバナは純粋に花としては美しいと思います。

    そういえば小学校のころ、ヒガンバナには毒があるというのを知ってて、放課後の通学路で友達同士で肌にヒガンバナの液をつけあって騒ぎながら帰ってました。

    私にとって小学校時代の懐かしい思い出の花です。

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