2013/06/08

2013-06-08:オダマキ


10年以上も前まで、うちは薬局と商店を兼ねたような店で、
まだワタシが子どもだったころは、
店は資生堂のショップのようなこともしていた。
化粧品を置いてある一角には大きな鏡があり、
つまり、そこがサンプルを試すスペース、
アイシャドウや口紅、頬紅など、色とりどりのパレットがそこにはある。
ワタシは、パレットのある引き出しを
こっそりと開いて眺めているのが好きだった。
触ることはためらわれ、ただ、距離をおいて眺めるだけだった。
その裏のスペースには、季節ごとのポスターや広報、『花椿』。
全て、ただただ、美しく、自分とは遠くにあるものに思えて憧れた。

オダマキから随分離れてしまった。
まだ幼ないころの勝手なイメージの中で覚えていることだから
以下、正確ではないかもしれない。
あるポスターに「う、ふ、ふ、ふ。」とあって、
キレイな女の人がいたずらっぽくニッコリ笑っていた。
資生堂の新商品のポスター。
オダマキというよりも、この写真が、その雰囲気を思い出させる。

オダマキの顎も花弁ものびてきた。
街灯のように首を垂れ、そろそろ色がつくのを待っている。

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