2013/05/13

2013-05-13:クマザサ


「クマザサも伸びるにゃぁ〜」と朝から聞こえたぼやき。
写真の他に庭いじり(≒庭の草むしり)という高尚な趣味を持つ父、
クマザサは庭をビルドアップしているときに、
好きで植えたんだそうだが「どうも、伸び過ぎちゅう」。
きっと、来週の今ごろにはこのアホげに天を目指す姿は見られないと思い、
慌ててケータイで撮影した次第。
小さな苔たちの中でシャンと背をのばして空を見ている姿は、
他の草と比べてもいじらしく見えることがある。

たとえば、トトロがメイちゃんを探しに出掛ける辺りのシーンで
一生懸命に天に向けて何か祈祷する(たぶん)と、
土から「ポコ、ポコポコッ」と芽が出てくるシーンがある。
出てきた芽が伸び、伸びた野草たちがいくつもと絡み合いながら
1本の大きな木になる...という夢のようなことは実際にはないにしても、
妄想の調子が良ければ、こんなクマザサの様子を見ると
「ポコ、ポコポコッ」と頭で音が鳴って、
あのダイナミックなシーンが浮かんでくるのだった。

ふと、クマザサは、そういうときにデフォルメされて
「芽」や「草」として描かれるものの代表なのかも、と浮かんだ。
もちろん、アニメやイラストに登場する芽や草は
何かを特定して、ではないことのほうが多いとは分かっているのだけど。

自生状態のクマザサは京都の鞍馬山などにしかないそうで、
今の「草」の代表格としての地位は、
人為的に全国に広げられたことによるらしい。
「どこにでもある特別でないもの」というのは、
クマザサにおいては、「つまらないもの」「退屈なもの」というより、
間違いなくみんなが好きなもの、害のないものを意味するようだ。
「害がない」の部分についてあえて言うと、
クマザサはいろんな食品や薬品の原材料となっていることが多い。
それで、インターネットで検索してみても、
その姿形よりも効用や効能ばかりが出てくるのだから、
いかにこの姿が珍しくないかがわかるでしょう。
当たり前のように当たり前のことをして、
何か特別なことを期待するでもされるでもなく日々を過ごしている。

クマザサは、こんなふうに写真に撮られてさぞ驚いていることでしょう。
「トトロに描かれたのはナニ?」なんて追求するのも野暮ですね。
(いや、樫の木になるんだから、間違いなくソレなんだけど)

コケの間からポンッと。(さとみ撮影)

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