浦島太郎が釣りをしている姿に見立てたらしい。 |
「何の花が好きか」という質問には、
だいたい、「カラー(襟)のあるやつ」と答えることにしている。
子どものころのある日に同じように質問されて、
ちょうどそのときにパッと目に入ったのがソレだったからだ。
それまでは、だいたい「ヒマワリ」と答えていた。
かわいすぎもせず、美しすぎもせず、
夏に明るく、元気な感じがするのは印象がいい。
スポーツに勤しんでいたワタシにちょうどいいと思っていた。
だから、「カラーのあるやつ」と答えるのはちょっとした冒険だった。
相手の反応は覚えていないけど、
それ以降も同じように答えているということは、
そう答えたことに気分がしっくりきたからに違いない。
ウラシマソウの他に、ユキモチソウやマムシグサもあるけど、
ま、だいたい、そんなところだ。
母の本棚には、いろんな資料に混じって、よしもとばななの本があった。
三角の、絨毯の黄色い、日当りのいい小さな部屋。
そこにこっそり忍び込んで初めて読んだのが『キッチン』。
あと、『N・P』に『哀しい予感』。
他にもこっそり読んだものがあったけど、忘れてしまった。
小学校では『ルドルフとイッパイアッテナ』や
『大泥棒ホッツェンプロッツ』なんかが好きだったけど、
そこで描かれている世界とは違って、大人っぽくって、ドキドキした。
お母さんは大人の女の人なんだな、と思った。
忍び込んでのぞき見するみたいに読んでいるのが、
余計にそんな気分を助長したんだと思う。
装丁が印象的で、特に、首の長いヒトのイラストがステキだと憧れた。
そう、回り道をしたけど、「カラーのあるやつ」は、
「首の長いヒトのイラスト」を想起させていたのだった。
他の花のように、豪華だったり華奢だったりということを思わせない。
天真爛漫でもスネているようでもない。
何かをデフォルメした抽象絵画のようであり、
生々しくないから余計に、生々しさが印象に残る。
いったい、何を思わせたくてそんなに首を長くしているのか、
いったい、何を伝えたくてそんなカタチをしているのか、と勘ぐらせる。
このカラーの奥には雄花か雌花があって、
虫たちはそこへ誘い込まれて花粉を届ける仕事を行っている。
また、ウラシマソウは、育っていく段階において
雄花になるか雌花になるかを決定するらしい。
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