2013/05/15

2013-05-15:ウラシマソウ

浦島太郎が釣りをしている姿に見立てたらしい。







































「何の花が好きか」という質問には、
だいたい、「カラー(襟)のあるやつ」と答えることにしている。
子どものころのある日に同じように質問されて、
ちょうどそのときにパッと目に入ったのがソレだったからだ。

それまでは、だいたい「ヒマワリ」と答えていた。
かわいすぎもせず、美しすぎもせず、
夏に明るく、元気な感じがするのは印象がいい。
スポーツに勤しんでいたワタシにちょうどいいと思っていた。
だから、「カラーのあるやつ」と答えるのはちょっとした冒険だった。
相手の反応は覚えていないけど、
それ以降も同じように答えているということは、
そう答えたことに気分がしっくりきたからに違いない。
ウラシマソウの他に、ユキモチソウやマムシグサもあるけど、
ま、だいたい、そんなところだ。

母の本棚には、いろんな資料に混じって、よしもとばななの本があった。
三角の、絨毯の黄色い、日当りのいい小さな部屋。
そこにこっそり忍び込んで初めて読んだのが『キッチン』。
あと、『N・P』に『哀しい予感』。
他にもこっそり読んだものがあったけど、忘れてしまった。
小学校では『ルドルフとイッパイアッテナ』や
『大泥棒ホッツェンプロッツ』なんかが好きだったけど、
そこで描かれている世界とは違って、大人っぽくって、ドキドキした。
お母さんは大人の女の人なんだな、と思った。
忍び込んでのぞき見するみたいに読んでいるのが、
余計にそんな気分を助長したんだと思う。
装丁が印象的で、特に、首の長いヒトのイラストがステキだと憧れた。
そう、回り道をしたけど、「カラーのあるやつ」は、
「首の長いヒトのイラスト」を想起させていたのだった。

他の花のように、豪華だったり華奢だったりということを思わせない。
天真爛漫でもスネているようでもない。
何かをデフォルメした抽象絵画のようであり、
生々しくないから余計に、生々しさが印象に残る。
いったい、何を思わせたくてそんなに首を長くしているのか、
いったい、何を伝えたくてそんなカタチをしているのか、と勘ぐらせる。

このカラーの奥には雄花か雌花があって、
虫たちはそこへ誘い込まれて花粉を届ける仕事を行っている。
また、ウラシマソウは、育っていく段階において
雄花になるか雌花になるかを決定するらしい。

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